<目次>
  • はじめに
  • 第1章 意気軒昂八十代に向けて
  • 第2章 脳を生き生きとさせる
  • 第3章 つきあいの作法
  • 第4章 知的生活の知恵
  • 第5章 新しい人生を切りひらく
  • おわりに


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本書を読もうと思い立ったのは、著者外山滋比古氏のベストセラー『思考の整理学 (ちくま文庫)』を再読し、書評を記事に書いたことがきっかけです。外山氏のほかの著書を物色したところ、『乱読のセレンディピティ』『知的生活習慣』、そして本書をまずはピックアップしました。この1月のことです。


48歳の現在、数え年では50歳になります。いよいよ「天命」です。ということをつらつらと考えたのが、本書を手に取ったきっかけでした。


知的生活


『思考の整理学』でも同様の主張をされていましたが、本書で展開する内容も、「知識」の習得だけではダメで、「自分で考えること」の大切さを唱えます。『思考の整理学』では、風まかせのグライダーではなく、自ら操縦桿を握る飛行機操縦士のように、自分の人生の操縦桿を握りなさい、自分の人生は自分の頭で考えなさいということを述べられていましたが、基本的には同じ論調です。それが本書タイトルにもある「知的生活」の含意です。


「知的生活」などと言います。なにをもってして知的というのか(中略)
結論を言ってしまえば、それは「知識」の積み重ねではありません。自分の頭で「考える」ことこそ、人生を変える力です。二毛作人生をしっかりしたものにすることができます。 (P102)



人生二毛作


そして、本書の軸のもう一つが、「50代から」であり、天命のことであり、副題にある「人生二毛作」です。


「五十にして天命を知る」

この孔子のことばにしたがえば、五十代のテーマは、二回目の作つけの種を決めることです。(中略)サラリーマン人生は、あくまで全人生の前半です。その終盤にさしかかったことろで、後半戦の戦略はすでに決まっていなければなりません。 (P42)

人生の二毛作を志すなら、四十代から準備を進めておくことです。これまでのわたしの人生をふり返ってみて、起点は四十代だったと思います。 (P23)


これはまさに、『LIFESHIFT』のことではありませんが。そして本書が『LIFESHIFT』の前に出版されていることがポイントです。40代で『LIFESHIFT』を読んだ方にも、本書はおすすめです。


LIFE SHIFT(ライフ・シフト)
リンダ グラットン, アンドリュー スコット / 東洋経済新報社 ( 2016-10-21 )


そして、本書には衝撃的なことが書かれていました。


天命を知る


外山氏の言葉を借りて、誤解をおそれずに言えば、知識習得のための読書は四十代以降には無駄だということです。


習得した知識を生かす上で役に立つのは、せいぜい三十代まででしょう。四十代、五十代ともなれば、知識だけではダメです。知性をはたらかせなくてはなりません。 (P105)

若いころの読書は、知識を得るうえで欠かせないものです。かなりの読書量も必要です。(中略)

しかし、そのような読書体験もせいぜい三十代くらいまで。それ以後の読書は、あまり役に立たない。(中略)

誤解をおそれずに言えば、よけいな本は読まないことです。 (P120)


ガーン。読書に勤しむ私には衝撃の言葉です。


1923年生れの外山氏が『思考の整理学』を上梓したのは1986年。外山氏が62歳の時でした。文庫化前のオリジナルは1983年の出版で、かつエッセイ集であることから、元のエッセイは50代後半の時に書かれたことになります。おそらく、その時分には読書が無駄とは言い切れなかったのでしょう。


繰り返しになりますが、外山氏の提言は30年間変わらず「自分で考えること」。「天命を知る」というのは、50代において自分で考えるということなのでしょう。それが本書の主題ということでしょうか。


偶然ではありますが、本書を読んでいる最中、プレジデントオンラインの外山氏の記事が私の周囲でバズりました。



本書のオチ


さて、このようなことをおっしゃる外山氏は、さぞかし「自分で考える」ことができた人なのだろうと思うのですが、本書の最後のオチは、「自分の思考が貧弱・未熟」というものでした。


人間、知識をため込むだけではダメ、考えてこそ人間である、などとえらそうなことを書いて本にしましたが、恥ずかしいことながら本人の思考が貧弱でした。未熟だったのです。

「本当に考えるといのはどういうことか」を考えるようになったのはほんの最近のことです。目下、努力中ですが、なかなか、とらえられない。しかし、それがおもしろいと感じるようになりました。少し進歩したのかもしれません。まだまだ、わからぬことが山ほどあります。うかうかしてはいられない。 (P211)


いやはや・・・しかし、人は自分が未熟だと思えるのは成長している証だとも言えます。90歳を超えてもなお自分が未熟だと言い切れる外山氏の生き方には大いに学ぶことがあると感じました。


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