石破茂

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時々、政治家の書いた本を読むようにしています。


最近ですと、李登輝台湾元総統の本を読みました。半年ほど前には下村博文文部科学大臣の本を読みました。猪瀬直樹氏が東京都知事時代の時、猪瀬氏の本も読みました。



他に、安倍晋三氏、野田佳彦氏、橋下徹氏、樋渡啓祐氏、民主党の小川淳也氏、古いところでは小沢一郎氏の『日本改造計画』、中曽根康弘氏。読めていないのは、小泉純一郎氏や麻生太郎氏。読むに値しないと思っているのは菅直人氏と鳩山由紀夫氏。


『国難―政治に幻想はいらない』


さて、本書、『国難―政治に幻想はいらない』は、石破茂氏が2012年の自民党総裁選に出馬する際に上梓した本です。総理大臣を目指そうとされる方には著作が必須だと思っています(もちろん、実際はゴーストライターが書いていたり、口頭筆記で書かれています)。


経験上、政治家の本というのは、読めば考えていることが分かります。報道の印象では決して分からないことも書かれています。ポロッと本音が垣間見れることもあります。


本書の読後感としては、政党要件の考え方、自民党の党綱領、国防の考え方、政治家が語るべき言葉、これらのことについて共感をもてました。


自民党の党綱領


党綱領のひとつが、自主憲法の制定です。はたして自民党の支持層の方々はそのことを理解した上で支持しているのか分かりませんが、自主憲法制定は、結党以来の綱領につき、自民党はこれを目指すべきだと思います。


また、もう一つの綱領、自助・共助・公助の考え方も共感できました。



であるならば、生活保護制度の運用というのは、果たして自助・共助・公助の理念に基づいているのだろうか?と疑問に感じます。というのは、自助できない世帯が共助を飛ばして、いきなり公助にすがっているからです。稼ぎのいい芸能人の親が生活保護を受けていたことが1~2年前に話題になりましたが、これはまさしく共助が欠けた例になります。


国防の考え方


<文民統制の考え方>

「・・・私が諸官に求めたいのは与えられた権限のどこが足りないのか、装備に何が足りないのか、そのためにどのような法改正や予算が必要なのかを意見してもらうことである。私は諸官のように『事に臨んでは危険を顧みない』と宣誓し、命を賭けて現場に立ったことも、装備を操ったこともない。そのような立場に立つ諸官にしか本当のことはわからないのであり、諸官に意見をしてもらわなければ、組織をお預かりする大臣として国民に対する責任は果たせない。大臣に対して意見することは民主主義下の文民統制における諸官の権利であると同時に義務であり、それなくして真の文民統制は機能しないものと信じる。」 (P54)


この文民統制の考え方は、溜飲が下がりました。自衛隊の武官は文官の長である防衛大臣を通じて防衛についての意見を述べてもいいが、それ以外の場では慎まなければならないとのこと。残念ながら、田母神氏はそのことを理解せずに、民間の論文懸賞に応募してしまいました。田母神氏の失敗を批判しています。


集団的自衛権の考え方もよく分かりました。国連憲章では集団的自衛権の行使をすべての国に認めています。国連による紛争解決を待つ前に、攻められる可能性があること、攻められる国と利害関係があり、共に防戦する必要性にかられることがあることが理由です。ただし、無条件に認めているのではなく、以下の条件付です。


<国連憲章で集団的自衛権を認めている条件>

  • 安保理が必要な措置を取るまでの間であること
  • 自衛権を行使した場合はただちに安保理に報告すること
  • 不法は武力攻撃が存在すること
  • 被害国がその武力攻撃があった事実を宣言し、他国に援助を要請すること
  • 必要性・均衡性を有すること


日本は集団的自衛権を使うことができないとされています。権利は保有しているものの、行使はできないというのです。ただし、他国がそれを用いることには異を唱えていません。日本が攻撃されたときには米軍が動くことになります。

こんな不思議な権利があるでしょうか? (P101)

「日本にアメリカの基地はいらない」、「アメリカ出ていけ」と主張する人たちこそ、「集団的自衛権を行使できるようにすべきだ」と言わなければ論理は通らないのです。 (P106)


ここのところを補足しますと、在日米軍がある意味、極東における戦争の抑止力になっています。アメリカは、日本や韓国のみならず、フィリピンや他の東南アジア諸国が攻撃にさらされた時も、集団的自衛権を行使する立場にあります。その際、在日米軍が実働部隊になります。事実、朝鮮戦争、ベトナム戦争は、日本から米軍が飛び立ちました。


もし、在日米軍がいなくなると、極東・東南アジアの安全保障が守られるためには、在日米軍に代わって日本が担う覚悟があるのでしょうか?その覚悟なくして、安易に在日米軍廃止を唱えてはいけないのだと思います。





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