アクティブラーニング
credit : jordandreyer via pixabay.com (license : CC0)

<目次>
  • はじめに アクティブラーニングをめぐる五つの幻想
  • 第一章 アクティブラーニング/主体的・対話的で深い学びとは何か
  • 第二章 近代教育史の<アクティブラーニング>-大正新教育・戦時下新教育
  • 第三章 戦後教育史の<アクティブラーニング>-戦後新教育・民間教育研究運動
  • 第四章 平成教育史の<アクティブラーニング>-新しい学力観・総合的な学習の時間
  • 第五章 未来のアクティブラーニング>に向けて
  • 主要参考文献・資料一覧
  • 巻末資料 学習指導要領の主な変遷と内容
  • あとがき


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長女が小学校に進級した2004年以来、小学校、中学校、高校と、できうる限り学校公開日には足しげく通ってきました。2011年以降は当ブログでも記録を残しており、記事本数が30本になっています。



授業が改良されてきているのを目の当たりにし、「アクティブラーニング」についてもポジティブ捉えていました。ですので、本書テーマは重大関心事です。


本書の目的

著者の小針誠氏は、教育者ではなく教育史の研究者です。昨年の学習指導要領でお目見えした「アクティブラーニング」について、歴史的経緯から考察を試みるものです。


本書は、現代日本の学校教育で、なぜアクティブラーニングまたは主体的・対話的で深い学びが提起、導入されようとしているのかを歴史的に解き明かし、批判的に考えてみたいと思います。 (P9)


エビデンスなき学習指導要領の策定

「アクティブラーニング」という横文字は、今回の学習指導要領が初めてのようですが、歴史を紐解けば、「主体的な学び」というのは大正期から三度トライされたとのこと。大正デモクラシーの時期、戦時体制下の時期、そして戦後です。それらはすべて失敗に帰したわけですが、その分析をするでもなく、今回の学習指導要領が告示されたことに、著者を危惧を示します。


2017年3月に学習指導要領が告示され、新しい大学入試の内容が少しずつ明らかになるにつれ、それらの実施のみならず、その問題や課題がじゅうぶんに指摘されていないことへの違和感や危機感が本書執筆の強い動機づけになったことを記しておかなければなりません。 (P265)


3年前に『「学力」の経済学』が出版され、教育政策にも「エビデンス」が必要であることが唱えられました。しかし昨年の告示では、エビデンスがないまま「アクティブラーニング」が導入されることになります。


基礎学力と意欲格差の問題

実際のところ何が問題か。著者が述べていることは私の経験することとも一致するのですが、「アクティブラーニング」の大前提は大きく分けて2つあります。1つ目は、学ぶ生徒側に主体的学びに資する基礎学力と意欲が必要不可欠であること。


学力や学習意欲の格差の問題です。同一の教科や内容の学習をめざしながら、学習のペースだけを児童の自主性に任せた結果、それぞれの能力と意欲によって児童の学習進度の差が大きく開いてしまいました。 (P88)


過去の失敗は、この2つの欠如によるものです。直感ですが、偏差値55以上の学校では、基礎学力は問題ないように思いますが、平均以下では厳しいのこではないでしょうか。


教える側のスキル・生徒との信頼関係

2つ目の問題は、教え導く側にも高度なスキルが必要なこと。ここに主体的な学びの自己矛盾があります。


「主体的・対話的で深い学び」の理念や考え方は抽象的で、授業に向けて特定の形や型を見出しにくいところがあります。それゆえに、教師のなかには、かえって不安が増幅し、授業実践の「型」を求めてしまうこともあるかもしれません。 (P217)


ある一定以上のスキルを教師側にもってもらおうとすれば、特定の型を用意しなければなりません。特定の型に基づく指導は、生徒の活動もその特定の枠組みの範囲に押し込むことになりかねず、真に主体的で創造的な活動には結びつかない可能性があります。一方で、特定の型を用意せず、現場任せにすれば、自由という名の放任、無秩序を生み出しかねません。


中高一貫校の武蔵中学・高校の梶取校長は、自由と放任とは異なる、自由には規律・責任が伴うとおっしゃっています。つまり、アクティブラーニングを成立させるには、規律・責任を理解するリテラシーのある生徒、その生徒たちを導くことのできる先生との信頼関係が必要不可欠ではないでしょうか?



しかし、過去を遡れば、日本の寺子屋制度は、アクティブラーニングそのものでした。寺子屋制度も考慮したアクティブラーニングの議論も必要ではないか、という気がします。


まとまりがない書評ですみません。



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