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image via wikimedia (license : CC BY-SA)


<目次>
  • はじめに
  • 第1章 東大生の3人に1人は公文式出身
  • 第2章 なぜ月6000円で学力が伸びるのか?
  • 第3章 1枚のルーズリーフから始まった
  • 第4章 速く進む子と続かない子の差は何か?
  • 第5章 つるかめ算は本当に不要なのか?
  • おわりに
  • <参考文献>


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公文式と我が息子


現在高校2年になる長男は高校1年の春には高校3年生までの数学をほぼ終えました。公文に通ってのことです。お蔭様で、現在も数学は学年1位か2位。数学以外の学習に余力を割くことができます。


子どもが通ったことのある塾、公文式、日能研、東進ハイスクール。すべての塾で共通して言えるのは、数学の差がそのまま総合学力の差になっている点です。「数学が苦手なら文系」という問題ではありません。国語や社会と異なり、数学は積み重ねの教科です。途中の理解をすっ飛ばして先に行くことができません。


数学を乗り越えるのは、さっさとやってしまうのが一番。公文式では3年先に進むのが目安とのこと。そしてゴールは高校三年生の数学の修了です。つまり、中学三年卒業までに、高校三年生の数学を修了するのが目安で、長男はほぼ予定通りに修了させたことになります。


公文式の特徴


低い段差

公文式の特徴は、細かなステップになっていて一直線に上っていくこと。その数5470。


高校数学を容易にするという目的に対して一直線にしかも非常に低い段差で細かく作られた階段を、一段一段確実に上っていくことで、気付けば誰の力を借りることなく微積分までたどり着く。


ちょうどよい背伸び

このきめ細かな段差が、常に子どもがちょっと背伸びをした高さになっています。それを見極めるのは先生です。


常にちょっとしんどいくらいの負荷をかける。それが公文式でよく使われる「ちょうど」である。ちょうどの教材さえ与えられれば、子どもは自ら伸びていく。それが公文式の学習法および教材構成を根本で支える理念である。


たかが計算力、されど計算力。

公文式を通じて、数字を見てぱっと計算できる能力が身に付きます。しかし一方で、文章題、図形、つるかめ算は出てきません。算数/数学のうちの「計算力」が身に付きます。


「計算だけ」とは言いますが、その計算がいかに大切か、これは今でも一般にはよく理解されていません。

もし子供が学年相当より2年あるいは3年進んだ計算能力を身につけた時のことを考えてみてください。小学一年生の子供が四年生の計算ができるようになれば、一年生や二年生の応用問題などは簡単に解けることになるのですが、これがなかなか理解してもらえないのです。


自学自習の姿勢

公文式では教えません。自分で答えを見つけ出す必要があります。そして、自学自習の姿勢が養われます。


教えてもらうことを前提にするのではなく、与えられた条件の中から類推する力を養うことも重要な学びの過程なのだ。そうすることで、自学自習の姿勢を身に付けさせるのが公文式の狙いである。


公文式は、万能ではありません。低い段差が邪魔と感じたり、この「自分で答えを見つけ出す」という姿勢に馴染まなければ、公文式につまづく可能性があります。私の子どもにはちょうどよかったのですが、万人向けではないとも思いますので、そこは子どもと向き合って判断する必要があるように思います。


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批判

計算力は意味がないのか?

計算力にフォーカスしているため、考える力を養えないという批判があるようですが、以下の考え方に同感です。


「公文式は考える力を養わないなどの批判もあるが、考える以前に計算力がないと、そもそも思考の起点にすらたどり着きません。」


また「人工知能が進化したら、人間にとってあまり意味がない勉強システムになるのではないか」という批判もあるのですが、本当にそうでしょうか?素早く計算できること、数学の素養が身に付いていることは、ぱっと見ておかしな点に気づく能力にも繋がると思うのです。詳しくはニセ科学の本を参考にしてほしいのですけど、計算をコンピュータ任せにして数学の素養を蔑ろにすると、バグによる計算結果のミスや果ては世の中のウソを見抜けなくなるのではないかと危惧します。


母親の関与度が低下する懸念?

著者のおおたさんは、公文式は教室でも家庭でも女性・母親の関与度が高く、今後、女性の活躍が多方面になるにつれ、指導者不足・家庭学習不足になり、「女性の活躍」が公文式への逆風となる恐れがあるとしています。


指導者不足については確かにその通りかもしれません。しかし、母親の関与度が低下することが公文式の逆風となるという考え方には賛同できません。というのは、それは「公文式」に限った話ではないと思うからです。日能研も、おそらくサピックスも、小学生のうちは親の関与度は絶大です。父親であるか母親であるかも問いません。そして、一度学習習慣が身に着けばしめたものです。学習習慣が身に着くまで、親が努力できるかどうかです。


たしかに専業主婦のほうが、その時間は取れるでしょう。しかし先に述べた通り、公文式特有の問題点ではないと思うのです。


まとめ


今のところ、私は子どもを公文式に通わせて満足度が高いです。もちろん、算数/数学については計算力が中心ですので、過信することは禁物ですが、別途応用力を身に着ければよいと思います。そして、その応用力を身に着ける際にも、計算能力の高さが優位に働くのではないでしょうか。


以上、我が家庭の経験談を踏まえての本書の紹介でした。「公文式」お薦めです。できれば幼稚園から通わせ始めて下さい。算数/数学を少しでも早い段階から先に進められれば、中学受験だろうと高校受験だろうと大学受験だろうと、有利になるのは間違いないからです。


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追記

2021年5月16日

以下の記事で『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』に言及。



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