『美しい暮しの手帖』第一号
image via 暮しの手帖 - Wikipedia (lic:CC0)


「暮しの手帖」とわたし
大橋 鎭子
暮しの手帖社 ( 2010-05-15 )
ISBN: 9784766001655

  • 先輩のこと 石井好子
  • 一 花森安治と出会う
  • 二 子ども時代、そして父と母、祖父の子と
  • 三 第六高女時代
  • 四 戦時中の仕事、そして暮らし
  • 五 「暮しの手帖」の誕生
  • 六 「暮しの手帖」一家
  • 七 手紙でつづるアメリカ視察旅行
  • 八 「暮しの手帖」から生まれたもの
  • 九 すてきなあなたに
  • 今日も鎭子さんは出社です 横山泰子
  • 付録「暮しの手帖」から


2016年4~9月のNHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』。その主人公のモデルとなったのが、暮しの手帖社創業社長で本書の著者である大橋鎭子さん(ドラマでは小橋常子)です。



1920年生まれ、25歳の時に終戦を向かえ、鎭子さんが出版業を志した時に、巡り合ったのが花森安治(ドラマでは花山伊佐次)です。昔のことなので、一字一句覚えているわけではないのでしょうが、花森氏は次のように述べていたらしいです。読書日記人気ランキング


花森氏のメッセージ

花森さんは、

「君はどんな本を作りたいか、まだ、ぼくは知らないが、ひとつ約束してほしいことがある。それは、もう二度とこんな恐ろしい戦争をしないような世の中にしていくためのものを作りたいということだ。戦争は恐ろしい。なんでもない人たちを巻き込んで、末は死までに追い込んでしまう。戦争を反対しなくてはいけない。君はそのことがわかるか・・・」

続けて「君も知ってのとおり、国は軍国主義一色になり、誰もかれもが、なだれをうって戦争に突っ込んでいったのは、ひとりひとりが、自分の暮しを大切にしなかったからだと思う。もしみんなんい、あったかい家族があったなら、戦争にならなかったと思う・・・」そんな意味のことを話されました。


私は、『暮しの手帖』を読んだことがありません。そう言い切ってしまっていいのかどうかわかりませんが、この言葉が、『暮しの手帖」の重要なメッセージだと思います。


自伝は真実を語る

本書執筆時点で既に60年以上経過しており、多少の記憶違いがあるかもしれません。また、記憶は美化されてしまうこともあります。しかしそれでも、自伝には真実がある、と私は考えます。


大手新聞社(今日の朝日新聞や東京新聞)が率先して、軍国主義を煽ったと言われます。しかし、この花森氏の言葉が真実ならば、当時出版を携わった人たちの中にも、戦争に反対していた者がいたことの証になります。読書日記人気ランキング


『とと姉ちゃん』のシーン

本書では、『とと姉ちゃん』で出てくるいくつかのシーンも出てきます。前身の『スタイルブック』で、着物を裁断して洋服を作り、自分たちがモデルとなった話、ホットケーキの作り方の話、商品テストの話、広告を載せない方針の話。テレビドラマは断片的にしか見れていませんので、他にもあるのかもしれませんが、かなりのエピソードが実話に基づいて構成されていることが、本書からも分かります。


鎭子さん

鎭子さんのすごいところは、何にでも好奇心があるところ、その素早い行動力、そしてお節介。


戦時中に朝鮮半島に帰国する青年におにぎりを手渡した話。闇市を否定し配給生活を守り抜いた裁判官が餓死するや否や、裁判所に玉子を届けた話。皇族が悠々自適な生活しているのではないかと噂されるや否や、東久邇成子(今上天皇の姉上)に暮らしぶりの執筆依頼をしにいく話。


また、時代の最先端を行く取り組み。商品テストからさらに進んで、日東紡との「ふきん」の共同企画、日本冶金工業とのステンレスキッチンの共同企画など、今となっては当たり前のマーケティング主導型の商品企画を、すでに昭和30年代に取り組んでいました。読書日記人気ランキング


必要とされている雑誌

そして、アメリカ大使館から招待されてのアメリカ視察旅行。鎭子さんはその際、アメリカの同種の雑誌社を回ります。検索すると、今も健在ですね。



昔も今もおそらく変わりないのですが、消費大国アメリカで成功しているビジネスモデルを手本にするのは、間違いないように思います。セブンイレブンなどのコンビニの業態、マクドナルドなどのファーストフードの業態、スターバックスのようなスペシャルティコーヒーの業態など。


インターネットが台頭して以降、アメリカでも日本でも、多くの雑誌が廃刊に追い込まれています。媒体が何にせよ、良質な記事は、それを必要としている人がいる限り、絶対に残ります。その原点を理解している『暮しの手帖』も、末永く残ることでしょう。


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