黒蜥蜴 (江戸川乱歩文庫)
江戸川 乱歩
春陽堂書店 ( 2015-05-20 )
ISBN: 9784394301516


読書日記人気ランキング



Facebook上で開催されているオンライン読書会の「千年読書会」。6月の課題図書は江戸川乱歩の代表作『黒蜥蜴』でした。ほとんど書評になっていない書評を一度書いておりましたが、今度は真面目に(?)書こうと思います。



『黒蜥蜴』は、明智小五郎主人公の作品の一つです。しかし、ほかの作品と異なり、本書での敵は女性。年のころは30代でしょうか。大変な美貌の持ち主で、何人もの男たちを奴隷として従える悪女で、その名が「黒蜥蜴」。悪女好きな私にはたまらない作品です。


時代背景を確認しておきたいと思います。


時代背景

あとがきによると、本書の出版は昭和9年(1934年)。本書の舞台は東京の有名ホテル(帝国ホテルがモデルか?)、大坂の富豪の邸宅、通天閣、遠州灘、そして東京湾沿いのどこかの工場跡地。


東京から名古屋へ汽車に乗る描写がありますが、当時の特急は蒸気機関車でした。そして、何度も何度もタクシーに乗る描写が出てきます。当時の日本の自動車生産台数は1万台も満たない状況。ほとんど輸入に頼っていたはずです。トヨタ自動車の生産もまだ始まっていませんでした。需要が現在の100分の1程度だとして、大変な高級品ということになります。



また、本書の舞台となる通天閣についても調べてみたところ、初代通天閣は1912年にオープンし、一旦1943年に解体され、1956年の現在のものが再建されたとのことです。東京タワーもまだないご時世ですので、東京よりも先進的だったと言えるかもしれません。


旧通天閣
via 通天閣 - Wikipedia (license : CC0)


語調

通常、小説は、主人公や登場人物の目線で書かれる場合と、主人公や登場人物を客体として扱い客観的に描写する場合とがあると思いますが、江戸川乱歩作品の特徴は、その二つの目線を織り交ぜてストーリーを進めていくことにあるのでしょうか?作者自身がストーリーテラーのように、ミステリーの種明かしをしていきます。明智小五郎は何度も変装するのですが、最初は誰だかわからない設定になっていて、差し迫ってきたところで、作者自身が種明かしをします。


黒蜥蜴を演じた女優(俳優)

あとがきの解説に、黒蜥蜴を演じた面々の名前が書かれています。三島由紀夫が戯曲化したことで名を高め、何度も舞台と映画で取り上げられています。黒蜥蜴を演じた女優陣(括弧内は対する明智小五郎)は、水谷八重子(芥川比呂志)、京マチ子(大木実)、美輪明宏(舞台=天地茂・映画=木村功)、小川真由美、坂東玉三郎(草刈正雄)、松坂慶子、篠井英介、浅野ゆう子。


美輪明宏だけでなく、坂東玉三郎や篠井英介といった女形訳者が演じているんですね。それはそれで観てみたいとは思いますが、やはり悪女は悪女女優に演じてほしいもの。


水谷八重子というのは、ちょっとイメージが浮かばないのだけど、京マチ子、小川真由美というのは納得です。



小川真由美、浅野ゆう子の悪女っぷりな風貌にゾクゾクしちゃいます。

そしてなんと来年1月、日生劇場にて、中谷美紀が黒蜥蜴を演じるそうです!



読書日記人気ランキング


関連書籍


角川文庫版。3年前に読んだ。


黒蜥蜴 (学研M文庫)
三島 由紀夫
学習研究社 ( 2007-06 )
ISBN: 9784059004592


書評を書かなかったのですが、こちらが三島由紀夫の戯曲版。



この『魔性の女挿絵集』に黒蜥蜴が登場する。黒蜥蜴以外にも、大正・昭和初期の妖艶な悪女たちが登場し、たいへん萌えます。


読書日記人気ランキング



↓↓参考になったらクリック願います↓↓
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村