<目次>
- 第1章 なぜ和解うちからリーダーシップが必要なのか
- 第2章 現実を直視する日本と日本企業と「ニッポンの課長」の命運
- 第3章 リーダーシップの条件1 論理的な思考力、合理的な判断力が不可欠である
- 第4章 リーダーシップの条件2 コミュニケーションは情に訴え根負けを誘う
- 第5章 リーダーシップの条件3 実戦で役立つ戦略・組織論を押さえる
- 第6章 リーダーシップの条件4 評価し、評価されることの本質を知る
3月に参加した朝活読書サロンにて、冨山和彦氏の本を紹介していただきました。すでに紹介してもらった本は読む必要がないと思い、読まない書評としてアウトプットし、読書は別の冨山氏の本を当たることにしました。そして読んだのがこの本です。三つの視点で書評が書けそうです。一つは、サンクコスト(埋没コスト)・サンクタイム(埋没時間)の視点、一つは「選択と集中」の視点、もう一つは、組織と戦略の視点です。なお、「自助」・「共助」・「公助」の視点は、すでに別の本と合わせて分析を書きました。
論理性・合理性と情けの使い分け
第3章の見出しでは論理性・合理性を訴えかけているのに、第4章の見出しでは情けに訴えかけていて、一瞬、矛盾しているように感じます。しかしそうではなく、利用場面が違うということです。判断時には論理性・合理性が必要ですが、社内の根回しや説得には情けが必要ということです。
意思決定すべき時に情が入ってしまうと、判断が狂います。それがサンクコスト・サンクタイムへの固執となって表れます。いくつか心に刺さった文章を抜き出します。
私が見てきたダメな経営者というのは、圧倒的に情に流される人が多い。(中略)一方で、情に背を向けて合理にひたすら突っ走る人もうまくいかない。
20万人の英霊に申し訳ないと思って始めた戦争で、民間人を含めて300万人を超える日本人が犠牲になったのである。
サンクコストに引きずられて情緒的判断に傾き、事業撤退できずに傷口を広げる企業が多いのが実態である。
有限の命を生きるひとりの人間として、過ぎ去った時間をカネで買うことはできない。だから、自分が費やした時間、そこで流した汗や涙は簡単には割り切れない。
サンクコスト・サンクタイムに囚われずに意思決定するにはどうすればいいのでしょうか?
私の答えは、キャッシュフロー重視の経営をすることだろうと思います。
一旦、投資を判断し、投資を実行すると、その投資自体は戻ってきません。ところが、投資額を取り戻そうと、引き際を見誤るケースが多いように思います。過去の投資は捨て金として、現在を起点に未来だけのキャッシュフローを見てはダメなのでしょうか?事業継続可否判断は、未来のキャッシュフローがプラスかマイナスかで判断すべき、と考えます。
まとめを図示してみました。
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