2016年夏の参議院議員選挙の東京都選挙区候補者
2016年夏の参議院議員選挙の東京都選挙区候補者
photo credit : Naoki Sugiura (lic:CC)



参議院議員選挙(東京都選挙区)について、3本目の記事です。



今回の選挙、松田公太現参議院議員に投票しようと思っていた矢先に、本人が不出馬表明されたことにより、誰に投票すべきか困りました。


30人以上が並び立つ参議院議員選挙の東京都選挙区。

定数是正により、今回の選挙から1議席増え、6議席となります。

自民党2、民進党1、公明党1、共産党1の5議席は固いと思っています。

問題は、誰を応援して6議席目にするかです。



可能性があるのは、民進党のもう一人の現職・小川敏夫、元衆議院議員の小林興起、そして、2000年から2006年まで長野県知事を務めた田中康夫。2002年に脱ダム宣言を出し、箱モノ行政と決別し、財政再建路線へと舵を切った田中康夫氏を私は評価しています。本当にこの人でいいのかどうかを確かめるために、田中康夫氏の著書『日本を』を読みました。結果は〇です。


ちなみに、当選させてはならないと思っているのが、増山れな三宅洋平。当選するはずがないと思っていた山本太郎の前例がありますので、要注意です。



『日本を』

日本を
田中 康夫
講談社 ( 2006-06-20 )
ISBN: 9784062130585

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田中康夫氏を評価すべき理由を列挙します。

  1. 箱モノ行政と決別し財政再建を果たした実績
  2. パブリック・サーバント、サーバント・リーダーという姿勢
  3. 長野県職員の動機付け・意識付け
  4. 農業改革・林業改革に対する姿勢
  5. 実現可能な公約の立て方(演繹法ではなく帰納法的なアプローチ)


1は既知でしたが、2~5は本書を読んで知りました。補足します。


パブリック・サーバント、サーバント・リーダーという姿勢


サーヴァント・リーダーと呼ばれる、人々に奉仕する指導者としての決断。それは、郷土を想う愛郷心と、人々を護る愛民心を併せ持ち、「怯まず・屈せず・逃げず」の哲学と気概を抱いて、適格な認識・迅速な行動・明確な責任を示す営為の連続なのだと考えいます。


本書の節々に、サーバント・リーダーとして姿勢がにじみ出、それが、長野県職員にも良い影響を与えたと考えます。


サーバントリーダーシップ入門
金井 壽宏, 池田 守男
かんき出版 ( 2007-11-06 )
ISBN: 9784761264734


長野県職員の動機付け・意識付け


主体性に取り組める仕組み作り

長野県職員が、官僚的にならず、主体的に取り組める仕組みを整備しました。リッツ・カールトンに通じるものがあります。

通常の業務を行いながら、職員自身が注目している市町村、あるいは妻や夫の出身地の市町村といった自分が支援したい自治体に百名以上の職員が「市町村コンシェルジュ」として登録しています。上司の赦しを得て勤務時間内にも出かけて、一緒に市町村職員と仕事をし、意見交換をし、そこで出てきた悩みやアイデアを県の施策へと直接反映させるべく彼らが提案する、そうした仕組みです。 (P88)


民間への留学

「留学」は、視野を圧倒的に広げるのに有効です。

課長級の職員で、さらに成長してほしいと思う者を一年間の武者修行に出しています。並行在来線のしなの鉄道や地域の福祉施設、あるいは東京の、早朝ミーティングで評判の高い下着メーカーのトリンプ・インターナショナルや広告代理店の博報堂、タリーズ・コーヒーといったサーヴィスの現場を有する民間企業で、一つの職場に三カ月計一年間派遣します。 (P91)


組織名変更による意識付け

この手があったか!と思わず脱帽しました。言われてみれば、確かにそうですね。世の経営者のみなさんも参考になるんじゃないかと思います。作家の経験を活かした施策と言えます。

ピラミッド意識を打ち破るべく、私は地方課を「市町村課」に改めました。同時に、各地域の現場を出先機関と呼んでいましたが、これを「現地機関」と改めてました。続いて、財政課は「財政改革チーム」としました。チームリーダーである課長は、初対面の人に対して、「私は財政改革チームリーダーを務めております○○××です」とフルネームで挨拶することになります。(中略)人事課も「人事活性課」としました。さらに現在では「人財活用チーム」へと名前を変えています。 (P92)


農業改革・林業改革に対する姿勢


針葉樹である杉の間伐と、落葉樹の植樹等、林業再生の考え方がしっかりしています。それまで他県の農産物も採用していた学校給食も、長野県産のものに置き換え、地産地消を推進しました。今でこそ、「地産地消」という言葉は当たり前ですが、先鞭をつけたものになるのではないでしょうか?


そう、この策に限らず、読んでいて感じたのは、昨今の行政改革のかなり部分を、長野県知事だった時代に先行して実践していたようです。


実現可能な公約の立て方(演繹法ではなく帰納法的なアプローチ)


政治には、演繹法ではなく帰納法的なアプローチが必要であるとし、実際に田中氏の公約は、帰納的で分かりやすいです。

ディテールからの改革を掲げる私は、袋小路に陥る演繹法ではなく創造的問題解決としての帰納法の必要性を繰り返し説いています。(中略)日本では、演繹法の前提となる知識と経験は、5W1HからWhyとHowを除いた4Wの詰め込み型知識でしかありませんから、それらに基づいて推論しても導き出される結論は、マニュアル的問題解決、つまり「前例がないからできません」、「法律の規定がこうだからできません」という袋小路の壁にぶち当たってしまうのです。 (P93)


そして、今回の公約もディテールで非常に分かりやすいです。タイトルを引用します。

田中康夫 7つの公約
  1. 老保一元化の「宅幼老所」を充実!
  2. 子育て先進国フランスの「保育ママ」を導入!
  3. 基本所得保証「ベーシック・インカム」を!
  4. 温もりの「木製ガードレール」を都内に!
  5. 愛するペットの殺処分ゼロを目指します!
  6. 人が人を助ける「平和的予備役」を導入します!
  7. 乳幼児から大学までの教育完全無償化を実現します!

出典:田中康夫 7つの公約 – 田中康夫 | 第24回参議院議員通常選挙公式サイト


「ベーシック・インカム」は正直疑問に思っているのですが、それ以外はおおむね賛成です。


田中康夫氏の強みと弱み


強み=「言葉」の持つ影響力を行使

本書を読んで改めて感じたのは、作家出身であるということ。「言葉」の影響力をよくよく理解し、行使しています。「怯まず・屈せず・逃げず」というスローガン、公約の表現、長野県職員の意識付けなどに表れています。


そして、ふとこんなことも気づいてしまいました。それは、小泉純一郎氏は、田中康夫氏を模倣した節がある点です。小泉氏は、簡潔で言い切り型の物言いで、分かりやすく、世論を味方につけることに成功しました。田中康夫氏の言動を研究していたのではないでしょうか?


弱み=実直な物言い

強みと表裏一体なのですが、その「言葉」の影響力により、多くの敵を作ってしまったようです。長野県財界・新聞社・県議会議員・県職員幹部など。田中氏が三期目の長野県知事選挙で落選したのは、そうした敵のネガティブ・キャンペーンによるものでしょう。


その後、同様のスタイルの自治体首長として橋下徹氏が登場しました。橋下氏も足元を救われてしまいましたが、田中氏の時代と橋下氏の時代とで違うのは、ソーシャルメディアの普及。橋下氏の場合、マスメディアを敵に回そうが、ソーシャルメディア上で情報発信し続けることができましたが、ソーシャルメディア普及前の田中氏の長野県知事時代は、そういうわけにはいきませんでした。


ソーシャルメディアの登場により、この弱みは減ずることができます。実直な物言い、ソーシャルメディアでの情報発信を期待したいところです。読書日記人気ランキング




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