目次
  • 序章 健全な発達を阻害する脳の傷つき
  • 第一章 日常のなかにも存在する不適切な養育
  • 第二章 マルトリートメントによる脳へのダメージとその影響
  • 第三章 子どもの脳がもつ回復力を信じて
  • 第四章 健やかな発育に必要な愛着形成
  • 終章 マルトリートメントからの脱却
  • あとがき
  • 参考文献


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なかなか衝撃的なタイトルの本です。そしてタイトル通りの本でした。身体的暴力よりもむしろ、言葉による暴力や性的虐待などの親の子への不適切な関わりにより脳が物理的に損傷します。


「“こころ”はどこにあるか」と著者は問います。科学的に見たとき、「こころは“脳”にある」と著者は答えます。心が傷付くということは脳が物理的に傷付いています。


親の子どもへの不適切な関わり方


親による子どもに対する不適切な関わり方には、大きくわけて4種類あります。


  1. 身体的虐待(physical abuse)
  2. 性的虐待(sexual abuse)
  3. ネグレクト(neglect)
  4. 心理的虐待(emotional abuse)


狭義では「身体的虐待」こそが「虐待」ですが、これらを総称して広義に「虐待」と呼ぶと、強烈な印象があり問題の本質を見誤る危険性があるため、専門家の間では「マルトリートメント(maltreatment)」と呼んでいます。


脳の物理的な損傷


マルトリートメントと脳の関係について、日本では大規模な調査はありませんが、米国では大学生を対象とした調査が行われています。幼少時のマルトリートメントの有無を調査し、合わせて脳のCTスキャンを撮ります。


身体的虐待と感情・思考のコントロール

厳格な体罰を経験すると、「(右)前頭前野(内側部)」の容積が平均19.1%、「(左)前頭前野(背外側部)」の容積が14.5%小さくなる。


これらの部位は、感情や思考をコントロールし、行動抑制力にかかわるとのことで、これらの部位が縮退するということは、感情や思考の制御が難しくなることになります。


性的マルトリートメントと視覚

性的マルトリートメントを受けたグループは、そうでないグループと比べ、左半球の「視覚野」の容積が8%減少していました。


現実を直視することを抑制するために起きるとのことです。


言葉によるマルトリートメント

言葉によるマルトリートメントを受けたグループは、そうでないグループと比べ、大脳皮質の側頭葉にある「聴覚野」の左半球一部である「上側頭回灰白質」の容積が、平均14.1%も増加していることがわかりました。


シナプスは乳児期が一番多く、成人の1.5倍あります。成長するとともに剪定が行われますが、容積が肥大したということは、剪定がうまくいかずに「伸び放題の雑木林」のような状態になっています。シナプスが多すぎるとどのようになるのでしょうか?


人の話を聞き取ったり、会話をしたりするさいに、余計な負荷が脳にかかってしまいます。そのせいで、心因性難聴となって情緒不安を起こしたり、人とかかわること自体を恐れるようになってしまうのです。

脳の発達とコミュニケーション


脳は部位により発達次期が異なります。


  • 記憶と感情をつかさどる「海馬」の感受性期:3~5歳
  • 右脳と左脳をつないでいる「脳梁」の感受性期:9~10歳
  • 思考や行動にかかわる「前頭前野」の感受性期:14~16歳


つまり、これらの時期に子どもと不適切な関わり方をしてしまうと、その部位が十分な発達をしません。思春期までは子どもとの接し方がとても大切ということになります。著者の提言は以下のとおり。


積極的に使いたいコミュニケーション
  1. 繰り返す
  2. 行動を言葉にする
  3. 具体的に褒める
避けたいコミュニケーション
  1. 命令や指示
  2. 不必要な質問
  3. 禁止や否定的な表現


社会の中での子育て


核家族化が進んだ現在、子育てにおいて親の責任論が過度に進み過ぎていることに著者は継承を鳴らします。子育ての責任は家庭が第一であってほしいですが、親(特に母親)が背負い込み過ぎてしまう傾向にあるように思います。家庭は密室です。何が起きるか分かりません。


親が背負い込み過ぎず社会全体で子どもを育てていく社会風土を取り戻すことが必要であるように思います。


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