菊池 誠, 松永 和紀, 伊勢田 哲治, 平川 秀幸, 片瀬 久美子
光文社 ( 2011-09-16 )
ISBN: 9784334036447
<目次>
はじめに
1章 科学と科学ではないもの 菊池誠
2章 科学の拡大と科学哲学の使い道 伊勢田哲治
3章 報道はどのように科学をゆがめるのか 松永和紀
4章 3・11以降の科学技術コミュニケーションの課題
日本版「信頼の危機」とその応答 平川秀幸
付録 放射性物質をめぐるあやしい情報と不安に付け込む人たち 片瀬久美子
1.放射性物質をめぐるあやしい情報
2.不安に付け込む人たち
3.では、どうしたらいいのか?
4.まとめ
あとがきにかえて
著者・編者紹介
何が「科学」で何が「科学」ではないかというのは、科学者では定義することが難しいと言われます。もはや哲学の領域と言えます。本書でも「多くの科学者が科学だと思っているのがたぶん科学だ」と思っているものを科学として定義しています。
ひとつの領域の科学では問題が解決できないほど世の中が複雑だということもわかって来ました。複数の科学的知見とまだ科学として昇華しきれていない経験や暗黙知など総動員して問題を解決するアプローチを本書ではモード2科学と呼び、旧来の科学をモード1科学と呼びます。
環境学はモード2科学でしょうし、世界の貧困解決や原発問題などもモード2科学でしょう。そして厄介なのは、モード2科学とニセ科学の区別がつきにくいということです。本書では、その区別の方法として2点挙げています。
- 社会的な望ましさがあるものがモード2科学、望ましくないものはニセ科学
- 信用できる計測・実証方法があるのに、それを使わないようなものはニセ科学
モード2科学はイノベーションに通じるでしょうし、NPOなどの非営利セクターによる社会課題解決の取り組みもモード2科学と言えます。裏を返すと、非営利セクターはニセ科学に付け込まれやすいので、注意が必要です。
関連リンク
<『もうダマされないための「科学」講義』>
コメント