<目次>
- はじめに 直虎はヒロインにふさわしいか?
- 第一章 直虎の生涯
- 第二章 直虎の正体 - 「山の民」「女性」「悪党」
- おわりに 歴史の岐路に立つ人びと
- あとがき
2017年NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』。「直虎」という男の名前でありながら、女です。そして通称、「次郎法師」。なぜ、女なのに「次郎」であり「法師」なのか。しかも、歴史上、ほとんど知られていないし、痕跡を辿るのも難しいとのこと。
本書の著者・夏目琢史氏は1985年浜松市出身の社会学者。井伊直虎の地元です。15歳の時から直虎ゆかりの龍潭寺住職から直虎の話を聴いていたとのこと。直虎が世間一般に知られる以前から直虎をご存知だったという筋金入り(?)の直虎ファンです。
夏目氏の分析がユニークです。徳川家康と出会う前の井伊家というのは、「山の民」であり「悪党」だったとのこと。日本の中世から近世への転換期である戦国末期の最後の象徴的な人物として直虎を捉えています。
歴史区分によると、室町時代までが中世、安土桃山時代(織豊政権)から近世です。あまり深く考えたことがなかったのですが、中世までは山城、近世になると平山城そして平城、中世の小領主は、国衆・国人・悪党などとと呼ばれ、近世になると大名となっていく。「悪党」という呼称は、時の権力者に反攻する者という意味であり、現在尺度の「悪」ではありません。
鎌倉幕府、つづいて室町幕府に反攻した楠木正成が良い例です。戦国末期であれば、真田昌幸もその一人。武田勝頼亡き後は、織田信長&滝川一益、北条氏政、上杉景勝、徳川家康の間を、のらりくらりとかわします。また、『太閤記』で秀吉と劇的に出会う蜂須賀小六もまた「悪党」の代表例です。
そして、今川家に臣従するふりをしながらも、つかず離れずの存在が井伊家でした。
その中世の山々を歩き回った小領主のありようは、映画『もののけ姫』の世界観に通じるものがあると、著者の夏目氏はいいます。果たして、大河ドラマではどのように描かれるのでしょうか?乞うご期待。
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 ( 2014-07-16 )
こちら、大河ドラマのガイドブックです。
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