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たった今読了しました。何とも言いようのないショッキングな内容でありながら、大変抑制的な表現で少しずつ問題のベールを剥がしていく語り口。ひと言で表現するとすれば、そういうことでしょうか。


主人公キャシーと同級生のトミー、ルースの幼少期からの回想シーンから現在に向かって物語は進行する。彼らは児童養護施設「ヘールシャム」で16歳までを過ごす。幼少のころより何か違和感を持ち、成長とともに、それが何なのかが少しずつ明るみになってくる。自分たちが臓器提供を使命とし生殖することができないクローン人間であることが。


クローン人間も普通の人間と同じように、魂が、心があり、血が通って生きているのか?もちろん、生きている。しかし、世間はそんな彼らの人格を無視し続けていた。。。。


ー閑話休題ー


現在の科学では、クローン人間はまだ存在しないことになっている。クローン人間は現実には起こりえないが、似たような事象は数多ある。LGBTと呼ばれる人たちは、ほんの10年前まで、社会から冷笑される存在だった。隔離されたハンセン病患者たちもそうだった。かつては同和問題もあった。普通の人間なのに、人権は無視され、あたかも普通の人間ではないように扱われてきた。


そういう立場になって考えることはできるものではない。『なぜペニスはそんな形なのか』を著したジェシー・べリングは、自分がホモであると確信したのは14歳だったと言う。それより小さいころは、他の子たちとは何か違うと違和感を感じつつも、それが何なのか分からなかったそうだ。本書でも、13歳ぐらいまでは違和感はぼんやりとしていて、13歳ぐらいから急に自覚するようになる。


イシグロ氏は、どのようにして本書を書くに至ったのだろうか。イシグロ氏にも幼少期に何か経験があったのだろうか。このような創作が可能であったことに驚嘆する。ノーベル賞作家の作品とはこのようなものかと感じ入った。


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