<目次>
  • はじめに
  • 第一章 能はこうして生き残った
  • 第二章 能はこんなに変わってきた
  • 第三章 能はこんなふうに愛された
  • 第四章 能にはこんな仕掛けが隠されていた
  • 第五章 世阿弥はこんなにすごかった
  • 第六章 能は漱石と芭蕉をこんなに変えた
  • 第七章 能は妄想力をつくってきた
  • 第八章 能を知るとっこんなにいいことがある
  • <付録>「能を観たい、習ってみたい、知りたい」方へ


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日本を代表する古典芸能といえば、「歌舞伎」と「能」が双璧でしょうか。「歌舞伎」も観たい観たいと思いつつも、まだ実現できていません。そして「能」もしかり。しかし、「歌舞伎」以上に分かっていないのが「能」。「能」についての本をあらためて読むのも初めてになります。


「能」が650年続いた理由

本書の副題でも650年続いた仕掛けとは何かを問うてるわけですが、冒頭にズバリ答えてあります。


こんなにも長い間、続いてきた理由とはなにか。それを可能にしているものは何か。

ずばり、答えは「初心」と「伝統」です。(P14)


「初心忘るべからず。」という言葉があります。これは、能を大成した観阿弥・世阿弥父子の残した言葉とのこと。


現在我々が知っている「能」と、室町時代に成立した「能」とではどうやら赴きが違うらしく、現在の眠くなるようなゆったりとしたスピード感の「能」は、どうやら江戸時代以降とのことです。「伝統」を重んじながら一方で「初心」を大切にしたとのことで、その時代時代の移り変わりにより、「能」自体も大きく変わって来たとのことです。


「能」の五つの効能

「能」には五つの効能があるとしています。そのまま引用します。

  • その1 「老舗企業」のような長続きする組織作りのヒントになる
  • その2 80代、90代でも舞台に立っているほどなので健康長寿の秘訣がある
  • その3 不安を軽減し、心を穏やかにする効能がある
  • その4 将軍や武士、財閥トップが徴用したように、政治統治やマネジメントに有効
  • その5 夢幻能の構造はAI(人工知能)やAR(拡張現実)、VR(仮想現実)など先端技術にも活か--せて、汎用性が高い (P12)


武士と「能」

戦国時代から江戸時代にかけて、「能」は武士の加護を得ました。江戸時代は265年続いたわけですが、武官である武士が文官を担えたのは「能」が暴力封じ込め装置としての役目を果たしていたからではないかと筆者は推察します。


江戸初期の能には、刀を手にかなり激しく舞う「切組(切合)能」も数多くありました。それを式楽化したことで、権威づけし、ゆったりとしたものに変えて、外に発散する力を内側に向けた。暴力封じ込め装置として能を位置づけようと思いついたこと自体も、そしてそれが長年機能していたのも、すごいことです。 (P77)


そして、「能」を謡い舞うことは、平時においても、戦闘集団として息を合わせる役目を果たしていたとのことです。


「息」が身体的に共有され、一体感が広がる。内臓感覚すら一致していく。これが戦闘の場面に起これば怖いものなしです。軍隊の息が合えば、戦力が増すことは言うまでもありません。(中略)ふだんは戦わない武官が呼吸を合わせていざという時の為に鍛錬するには日々、謡を謡い、舞を舞い、呼吸を合わせることが必要だったのです。 (P179)


「能面」の表情がないわけ

「能面」には表情がありません。表情の乏しい顔つきのことを「能面のよう」と言うこともあるくらいです。しかし、写実的ではないからこそ、「能」は時間と空間を超越し、伝統的でありながら、古臭さがないとのことです。


(能学研究者の増田正造さん(1930~)は)能は、再現写実の演劇ではない、と言うのです。(中略)再現的な表現は時代に縛られることになります。映画でもドラマでも、数十年前のものがなんとなく古臭く感じられるのはそのためです。しかし世阿弥は、体験や感情を直接的には見せない夢幻能を創作することで、能を、どんな演劇も逃れられなかった空間と時間の制約から解き放ちました。だからこそ、世界中で高い評価を得ています。 (P69)


能舞台
credit : Toto-tarou via 能楽 - Wikipedia (license : CC BY-SA)


関連書籍

近代能楽集 (新潮文庫)
三島 由紀夫
新潮社 ( 1968-03-27 )
ISBN: 9784101050140


学生時代に三島由紀夫の『邯鄲』を英語劇で行いました。この『近代能楽集』に収録されています。意味を理解できていなかったと思います。そこから実は一歩も進んでいないので、この『近代能楽集』を読まねばならないと思っています。



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