体制維新――大阪都 (文春新書)
橋下 徹, 堺屋 太一
文藝春秋 ( 2011-11-01 )
ISBN: 9784166608270


一昨日、住民投票で大阪都構想が否決されました。その時々の話題の政治家の本を読むようにしていますが、本書も出版された当時に読みました。読了時に殴り書きをした読書メモがありますが、今読み返しても、その時の感想とさほど変わりません。そのまま全文引用します。文法的におかしいところや主語が欠落していてわかりにくいところは、若干修正しました。




これまで数多くの政治家の本を読んだが、政治哲学がしっかりしており、群を抜いて秀逸である。橋下徹氏が独裁者にならないか?という点を危惧をしていたが、政治と行政の役割をはっきりと述べ、行政に対する信頼・思いやりが感じられた。たとえば、都構想の政治決定は政治家が担い、区割など精緻に練らなければならないことは行政の役割が大きいことを述べ、行政なくして大阪都構想は実行不可能であることを、しっかりと述べている。


メディアでは、いかにも政治と行政が対立しているように報道されるが、視聴率稼ぎのためにメディアが煽っている可能性が高い(私は、そんなテレビ報道も新聞も見ないので、実のところよく知らない)。


大阪都構想についても、本書を読む限り、全面的に賛成だ。日本全体、政策の変更だけでは行き詰っており、体制の変更こそが必要だと言っている。ここで言う体制変更とは、明治維新のような体制変更である。版籍奉還、廃藩置県、通貨切替(円の導入)等により、幕藩体制のしがらみを断ち切った。大名と武士の奉公関係が消滅したのだ。


橋下氏は、今の行政官僚は身分制度になっていると断罪する。いったん、身分をゼロクリアし、適材適所ができれば、行政能力が格段に高まるだろう。


そして、なぜ大阪都なのか?


本書を読むまで、恥ずかしながら知らなかった。世界の大都市間の競争に勝ち抜くため、広域行政単位を大阪都に集約、また地域密着の行政は、区長選挙導入による特別区に集約させる。大阪市という行政単位は、通勤圏を含めた「大阪」を考えると狭すぎ、地域行政を考えると大きすぎる。


区長は市長により任命され、しかもすぐに転勤してしまう。区民に選出された区長ではないため、区民のための仕事に本腰が入らず、柔軟で地域ごとの特徴をふまえた行政サービスができていない。


また、大阪市内の施策は大阪府は口を出せないことにより、大学や水道局等、さまざまな公共施設がことごとく二重持ちになっている。東京特別区を考えれば分かることだが、東京特別区には区運営の大学も水道局もない。すべて都が運営している。首都大学東京よりも、大阪府立大学・市立大学の運営コストのほうが大きい等、大阪府民・市民はいったいどれだけの負担を強いられているのだろうか?事実、大阪市は、東京都や横浜市より、圧倒的に一人当りの公債残高が多い。


ここで述べられている体制変更は、大阪のみならず道州制の導入のように、日本全国で必要なのだろう。しかし、橋下氏も指摘のとおり、道州制の合意形成プロセスは、大阪都の比ではない。まず、大阪から体制変更を行い、その効果を国民全体が理解をすることにより、初めて、道州制の議論も本格化するのではないだろうか?


明治維新もそうであったように、また橋下氏ご本人もそうおっしゃっているとおり、この体制変更は、とてつもなく大きな権力闘争を伴う。本書を読んでいて感じたのは、ひょっとして、橋下氏が暗殺されてしまうこともありうるのではないか?しかし、彼はすでに腹を括っているように感じる。


橋下氏は大阪都の実現に政治生命をかけている。大阪から日本を変えるため、なんとしても橋下氏にがんばってもらいたい。




私は「一方を聞いて沙汰するな」ということを信条にしていますので、反対尋問も聴いておく必要があると思っています。できれば住民投票前に読んで書評を書いておきたかったのですが、間に合いませんでした。近々読書予定です。



大阪通天閣_2009年1月23日

2009年1月23日撮影


最後に大阪を訪れたのは、たぶんこの時が最後です。大阪大学のイノベーションシンポジウムにIDEOのTom Kelley氏が来日しており、彼の講演を聴きに行ったのでした。



↓↓参考になったらクリック願います↓↓
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村