Osaka_no_eki_winter

<目次>
  • 第一章 豊臣公儀 秀頼の誕生
  • 第二章 徳川幕府 秀頼の成長
  • 第三章 大阪冬の陣 秀頼の沈黙
  • 第四章 大坂夏の陣 秀頼の最期


シミルボンに書評を寄稿を決めた当初、歴史関連の書評を寄稿しようと思ったのですが、歴史関連はすでに先駆者がおり、かつかなりのハイレベルです。そのため、歴史関連での寄稿は断念しております。また同時に、そのハイレベルの方々と比べると、私自身が日本史の本を読んでいないことに気づきました(世界史の本は読んでいるほうだと思います)。歴史を語るには、日本史の本を読まねばまずいということもあり、まずは、現在進行中の『真田丸』に関連した本を読んでみることにしました。時に、大坂冬の陣の最中です。読書日記人気ランキング


新解釈と『真田丸』


さて、歴史の解釈というのは、現代においても考証中の事柄が多く、本書の副題、「豊臣氏を滅ぼしたのは誰か」、つまり、大坂の陣の首謀者は誰なのか?も、まだ確定的な解釈は存在しない、と理解しています。それは、誰がその解釈を提示しているかにもよります。


本書の著者相川氏のプロフィールを見ると、歴史評論家とのこと。土方歳三、上杉謙信、真田一族、石田三成などの著作が並びます。また、本書を読み進めれば、著者が多数の原著文献にあたられていることが分かります。しかし、本書の解釈も、著者の推論・見解の域を脱してはおらず、それは言葉尻にも表れています。とはいえ、かなり納得できる解釈です。


大河ドラマ『真田丸』の楽しみの一つは、最近の新しい歴史的解釈が採用されている点です。具体例を二つ挙げると、一つは豊臣秀次切腹事件、もう一つは徳川秀忠関ヶ原遅参の件です。豊臣秀次は秀吉の命令によるものではなく、勝手に自殺してしまったことが最近明らかになっています。また、徳川秀忠も、家康との合流を目指していたわけではなく、最初から真田攻めを担っていたことが明らかになりつつあります。『真田丸』では、この新解釈を採用しています。


そして、『真田丸』の脚本家・三谷幸喜氏が果たして本書を参考にしたかどうかは分かりませんが、大坂の陣においても、本書で提示されている解釈が『真田丸』に適用されているように見えます。それは何なのか?


大坂冬の陣の首謀者は誰か?


通説では、大坂の陣の首謀者は淀殿と大蔵の局や大野治長らの取り巻きとされていました。しかし、話はそう単純ではなく、冬の陣と夏の陣では、首謀者が異なります。まずは、冬の陣から。


この人物がこれまで大河ドラマの大坂の陣の場面で取り上げられることはなかった、と記憶しています。それは織田有楽です。大河ドラマ『真田丸』では、大坂城内にて、真田幸村と対立するヒール役として登場します。


大蔵の局は、旧浅井家家臣の血筋の者で淀殿の乳母。そして、織田有楽は織田信長の弟であり、淀殿の伯父にあたります。つまり豊臣家から見ると、外戚です。日本では、外戚が権勢を振るうことがあります。平安時代の藤原氏、鎌倉時代の北条氏はそれぞれ、天皇家、源氏の外戚でした。つまり、関ヶ原の戦い後、大坂城を仕切っていたのは、淀殿と旧浅井家系や織田家の血筋の者だったのです。


織田有楽はというと、本能寺の変で二条城を脱出し、生き延びましたが、小田原の陣の後に甥・織田信雄が失脚後、秀吉のお伽しゅうに加わります。淀殿とのかかわりがいつ頃のことか分かりませんが、ひょっとすると、父母を失った淀殿の庇護者として、秀吉と淀殿を引き合わせる役目も担っていたのかもしれません。淀殿の秀頼出産にも関わり、関ヶ原の戦い後も大坂城内にあったようです。読書日記人気ランキング


冬の陣をしかけたのは大坂側だった


本書の解釈によれば、この御仁、幕府と本格的に戦をしようとしたのではなく、冬の陣というのはブラフだったといいます。牢人を集め、力を誇示した上で、豊臣家の加増、並びに織田家の復権をたくらんでいたとのこと。


通説では、方広寺鐘銘事件で幕府にいちゃもんをつけられたことに端を発して大坂冬の陣へと発展したことになっていますが、本書では、鐘銘事件の前から大坂側は牢人集めをしていたと仮説を立てています。そういう不穏な動きがある中で、鐘銘事件が起きたため幕府が敏感に反応してしまった、という解釈も成り立ちます。


鐘銘事件は7月26日、家康の駿府出立は10月11日です。手紙で連絡を取り、それから武具を揃え、旧家臣を呼び集め、兵糧を準備して馳せ参じるのに、ぎりぎりの時間ではないでしょうか。7月26日以降に全国の牢人たちが一斉に行動を起こしたのでしょうか。かなり前から大坂側は全国の牢人を集めていたと考えるのが自然のようです。本書では半年前と推察しています。


真面目に戦うつもりがなかった。


織田有楽は、幕府と最初から内通していた可能性があります。『真田丸』でも、幸村が二条城奇襲を提案すると却下し、出城築城をも却下し、実戦を避け、籠城にこだわります。最初から戦うつもりがなかった、ということになります。今日の第45回「完封」では、織田有楽が内通者であることを幸村は見抜きました。このストーリーは、まさに本書によるところです。


つづき


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