本書の表紙デザインとなった『黒ひげとメイナードの戦い』海賊黒ひげ

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本書との出会いは、ライフネット生命の出口社長の書評。海賊が歴史に与えた影響というのはかねてより興味を持っていたので、読んでみた次第です。本書はなかなか骨太の本で、読了するのに時間を要しました。


<目次>

第1章 二つの恐怖の物語

第2章 海賊行為の政治算術

第3章 海賊となる者

第4章 船上の新たなる統治

第5章 「水夫に公平は扱いを」

第6章 女海賊ボニーとリード

第7章 「奴らを世界から一掃せよ」

第8章 「死をものともせず」

終章  血と黄金


海賊の黄金時代の意味


まず、本書のタイトルとなっている「海賊たちの黄金時代」は、おおよそ1716年から1726年を指すとのことです。1716年に海賊が急増した理由は、1700年から続いていたスペイン継承戦争が1714年に終結したためです。スペインの船舶を襲っていたイギリス政府公認の私掠船が、戦争終結をしても私掠行為を止めないどころか、イギリス船も襲うようになり、海賊に転じていったようです。


海賊は、現代の言葉でいえば、さながらテロリストということになります。しかし、「テロリスト」という言葉はTERROR、つまり恐怖を与える人ということですが、政府に対抗する過激派組織をテロリストと呼ぶようになったのは、ずいぶん後世からのようです。絶対王政の時代は、恐怖の主体は、どちらかというと国家そのものでした。


海賊になる動機と海賊社会


海賊の出自は、多くの場合は船乗りですが、どういう動機で海賊になったのでしょうか?


洋上に出てしまえば船は密室です。人権のない時代ですので、労働環境は劣悪で、半ば奴隷のような扱いでした。商船が海賊に襲われたのを契機に、商船の乗組員が海賊に転じることも多かったようです。それは、商船よりも海賊のほうが、自由で平等だったからです。船長も民主的に投票で決められました。


また、船上が死と隣り合わせだったということは、お互いの協力関係、助け合いが欠かせません。


18世紀も末になると自由と平等を求めてフランス革命が起きます。海賊のほうが国家よりも先に民主主義を成立させ自由と平等な真の協働社会を築いていたと言えます。海賊の生き方や掟は、大いに現代社会にも参考になると思いました。



関連情報

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ONE PIECE 76 (ジャンプコミックス)
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集英社 ( 2014-12-27 )
ISBN: 9784088802190


海賊と言えば、なんといっても、『パイレーツ・オブ・カリビアン』と『ワンピース』。残念ながら?私は一度も『ワンピース』を読んだことも見たこともありません。「はまるよ」とききますので、避けてきた次第です。既に76巻まで出ているとのことで、読むにはそれなりの覚悟が要ります。



本書は、奴隷貿易とカリブ海での砂糖生産が描かれており、カリブの海賊が出没した時代と一致します。


海賊旗:Jolly Roger

Jolly_Roger

image from wikipedia lic:P.D.


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