プラネタリーデザイン講座


今週水曜日は、京都造形芸術大学・外苑キャンパスで開催された竹村真一教授のプラネタリーデザイン講座に、企業間フューチャーセンターの一員として初めて参加させていただきました。質、量ともボリューム満載で、お腹いっぱいで、すべて腹落ちしておりません。理解を深めるためにも、自分自身で気づいた点を書き留めておこうと思います。


竹村先生の著書は事前に読んでおり、竹村先生の提言内容は幾たびも知る機会があったのですが、講座に参加し、直接お話を伺ってみて、竹村先生のおっしゃる地球目線、地球と人間の関係をデザインすること・リブートすることの意味が、ようやく腹落ちした次第です。


  • 日時:2013年10月23日(水)19:00-21:00(実際に終了したのは21:45ごろ)
  • 場所:京都造形芸術大学・外苑キャンパス

 (最寄り駅はJR信濃町、または地下鉄青山一丁目)

  • ゲストトーク:
  • 西 祐一郎氏、森田清輝氏(ウェザーニューズ社)「地球減災サイトの構築にむけて」 
  • 金子孝幸さん(企業間フューチャーセンター)
  • 山本啓一朗さん(復興庁)
  • 角免昌俊さん(NPO法人ピースウィンズ・ジャパン)


ゲストトーク

ウェザーニュース社の台風情報

ウェザーニュース社WEB上の10月26日時点の台風27号の奇跡です。


ウェザーニュース社

ゲストトークについて、簡単にご説明します。


ウェザーニュース社からは、天気予測についての集合知の形成についてのお話がありました。会員登録されている方も多いと思いますが、2004年から開始し、会員数500万人、日々2~5万件のリポートが報告されています。ゲリラ雷雨防衛隊も結成され、的中率90%とのこと。従来の天気予報が上意下達の一方通行であるのに対し、ウェザーニュース社はJoin&Shareを目指すとのこと。


竹村先生の「人間が地球の感覚神経になる」というよい実例ではないでしょうか。


「みんなの意見」は案外正しい
ジェームズ・スロウィッキー, 小高 尚子
角川書店 ( 2006-01-31 )
ISBN: 9784047915060

集合知の形成は、ベストセラーになった本書が詳しい。


「やまけい」こと山本 啓一朗さん

また、ゲストトークの最後には、復興庁の山本さんからは、貴重な投げかけがありました。


「家族とどんな約束をしていますか?」


震災等の災害時に、たとえば、どこへ逃げるのか、どこで待ち合わせるのか、家族と話しをしていますか?という投げかけです。これが生と死の境目になってしまうのかもしれません。


ソーシャル・リーマンズが行く! - 産業動向 - Tech-On!・・・やまけいさんの連載記事


公開講座への参加の誘い

プラネタリー・デザイン講座は、11月、12月、1月もほぼ隔週水曜日で開催予定です。質・量ともに非常に充実した大学の公開講座です。興味の持たれた方は、次回以降、ご参加いただければと思います。


ちょこっとだけ、参加の敷居を上げておきます。というのは、ある程度の問題意識・予備知識が必要だからです。通常の公開講座と異なり、聴講だけでなく、自分事として捉え、自分ならどのように行動をするのか?という発言が求められます。


また、このブログ記事は、私が理解を深めるために関連項目を膨らませて書いています。このブログ記事で述べていることと公開講座の内容は一致しませんのでご了承ください。


さて、次に所感について、述べさせていただきます。


所感1:日本人の自然観を取り戻すこと

当日も、私からは日本人の自然観について発言させていただきました。欧米人と日本人は自然観が異なります。「芸術」と「自然」が対義語であると言うと日本人はびっくりすると思いますが、「アート」と「ネイチャー」を対比させるとわかりやすいです。アートとは人間による創造物のことであり、ネイチャーとは神による創造物です。キリスト教やユダヤ教ではネイチャーは畏怖の対象ですが、日本人の自然観とは異なります。日本人にとっては、自然は恵みを授かる源であり、愛でる対象です。和歌や俳句の中には自然を愛でる日本人の心情・姿勢が表れていますし、宮崎駿の描く世界、『風の谷のナウシカ』、『となりのトトロ』、『もののけ姫』などもまた、日本人の自然観を表しています。



プラネタリーデザイン講座では、「自然災害と思われているものは実は人災ではないか?」という指摘がなされました。森林を伐採し土地に保水力がなくなった結果、土砂崩れ・洪水などの被害が発生するようになりました。人間が都会に住むようになり、自然観を失ったこと、自然からの声なき声が聴けなくなったことが、今日の自然災害の一因になっているのかもしれません。


であるならば、今一度、日本人の自然観を取り戻す必要があるのではないかと思います。幸い、和歌や俳句、やまと言葉(訓読みの言葉)には、日本人の自然観が内包されています。言葉には「言霊(ことだま」があると言われます。日本語をしっかり読みほどいていくことにより、日本語の奥底に秘められた日本人の智恵を取り戻すことができるのではないでしょうか?


日本語の奥底に秘められたもの

ちょっと話が寄り道しますが、ご了承ください。当日、私が「日本人の自然観」のコメントをしたところ、竹村先生は、次のように返してくれました。


日本語には、さくら、さおとめ、さつき、さみだれなど、「さ」から始まる言葉があります。この「さ」というのは何を表すのでしょうか?それは、山の神が里に下りてくるを表すようです。


検索してみると、たしかにありました。




そして、この本も検索にひっかかりました。個人的に、日本語の言語の由来は興味を持っていますので、あとで読んでみようと思います。


「さ」以外にも同様に「ひ」や「い」もあります。今年、伊勢神宮の式年遷宮がありましたが、「そもそも式年遷宮とは何だろう?」と興味を持った際に読んでみた本が『伊勢神宮のこころ、式年遷宮の意味』です。この本には、「ひ」、「い」について書かれています。興味のある方は読んでみてください。


  • ひ(日)、ひ(火)、ひと、ひがし、ひこ、ひめ
  • い(胃)、い(胆)、いね、いのち



所感2:竹村先生の話は、子どもにも聞かせたい。

これは率直に、そう思いました。対象は小学生高学年から高校生ぐらいまで。これからの社会にどう向き合っていくのかは、進路を決める前の段階でぜひきいてほしいものです。竹村先生は、一昨年のTEDxKidsで講演し、今年も講演されるようです。



竹村先生の著書『地球の目線』

地球の目線 (PHP新書)
竹村 真一
PHP研究所 ( 2008-12-16 )
ISBN: 9784569700861


竹村先生は、複数の著書がありますが、企業間フューチャーセンターを通じて竹村先生のことを存じておりましたので、このPHP新書を1年前に読んでいました。公開講座に参加された方、これから参加したい方も、一読をおすすめします。


本書では、人類が地球環境を破壊してしまっている現状は、文明が「進歩」しすぎたからではなく、我々の文明と社会デザインが「未熟」だからと、竹村先生は主張します。


江戸時代、利根川を東遷をしたことにより、洪水を防ぎつつ、関東平野を一台穀倉地帯に変えました。自然に向き合い、社会をリデザインしたといえます。翻って現在、我々はどのように社会をデザインできるのでしょうか?本書は豊かな示唆を提供してくれます。


『地球の目線』の目次

序章 “地球目線”で未来をデザインする

第一章 この星には本来エネルギー問題など存在しない!

第二章 気候変動の真のリスクは私たちの内部に

第三章 二十一世紀のワールドゲーム

第四章 変動する地球との共生

第五章 地球の感覚神経系をデザインする

第六章 新たな人間の発見

対談 地球のための東京オリンピック2016(安藤忠雄x竹村真一)



所感3:無意識に行動を促す仕組み(アフォーダンス)

参加者の竹内さんから、行動経済学的なアプローチについての言及がありました。というのは、

  • 経験値の高い人ほど専門家の言うことを聞かない(東北大震災でもそうだった)。
  • 情報発信するのは5%以下。

だからです。これは、「アフォーダンス」という概念に似ているなと思いました。アフォーダンスというのは、モノのデザインが、無意識に人の行動を誘導するという考え方です。アフォーダンスの概念は、ドナルド・ノーマンの『未来のモノのデザイン』にくわしいです。言葉ではなかなかわかりづらい概念ですので、画像検索結果を参照ください。



つまり、避難するといった行動を、それぞれの人が意識的に行動するだけでは不十分で、意識せずとも誘導されるような社会の仕組み化が必要ということになります。まさに、竹中先生のおっしゃる「地球目線で未来をデザインする、リブートする」ということになると思います。


未来のモノのデザイン
ドナルド・A・ノーマン
新曜社 ( 2008-10-25 )
ISBN: 9784788511347


所感4:日本人の強みを活かして世界に出る


最後にこのことについても触れておこうと思います。


竹村先生が企図していることかどうかわかりませんが、「日本人の自然観」というのは日本人の強みであるがゆえに、日本企業がグローバル競争の中で勝ち残っていくためには、必須のアイテムではないかと考えています。


アメリカ人やドイツ人と仕事をした際にはこう言われたことがあります。「日本人は審美眼に優れている。」 「日本の景観は美しい」。われわれ日本人はなかなか自覚できていないかもしれませんが、それが外国人が見る日本・日本人の姿です。


日本人の自然観は、日本人の強みです。昨年来、輸出産業の創造を目指す「ZESDA-日本経済システムデザイン研究会」(今年NPO法人化)の活動に参画しています。輸出産業の創造を目指す上で、この日本人の強みを“意識して”活かしていくことが必要だと、あらためて再認識いたした次第です。


ZESDA(日本経済システムデザイン研究会)


執筆・遂行時間:100分


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