wakusei2nd

宇野さんが運営するPLANETS/第二次惑星開発委員会


2014年ベスト本候補、と言うのは言いすぎでしょうか?7月19日に桜庭さんが主宰するクローズドなイベントに招待いただき、その時のゲストが著者の宇野常寛さんでした。桜庭さんが著者のことを「若手論壇の旗手」と呼んでいました。


本書を読んでみて、あらためてその意味がよく分かりました。社会に対する深い洞察、切れ味するどい風刺。2年前、桜庭さんにお会いした時も衝撃を受けましたが、宇野さんのこの本にも衝撃を受けた次第です。一度に語りつくせない深さがあります。脱帽です。先に読んでからお会いすべきだったと今更後悔しています。ちょっとほめすぎでしょうか?いやいやそんなことはありません。


「知ってる人は知っている」ことをまとめただけという批判もあるようです。しかし、そのことを世に知らしめるのがジャーナリストの役目です。「知っている人は知っている」だけの状態から世に知らしたという点で、一流ジャーナリストと言えます。桜庭さんは宇野さんのことを「串の通し方が新しい」、「言うだけで何もしないジャーナリズム」ではなくて「何かするジャーナリズム」と評します。まったく賛同いたします。



『静かなる革命へのブループリント』の目次

まえがき

1 根津孝太 産業とデザイン

  クルマと戦後社会のアップデート

2 吉田浩一郎 これからの働き方

  フリーランスに年収500万円を保証する

3 駒崎弘樹 政治と社会運動

  デモと選挙の中間に、政治を変える方法が

4 門脇耕三 建築と都市

  2020年・東京デュアルシティ化計画

5 猪子寿之 アートとサブカルチャー

  人類の「美意識」を更新する

6 尾原和啓 ITビジネス

  21世紀の人類は「日本化」する

7 落合陽一 メディアとテクノロジー

  <虚構の時代>から<魔法の時代>へ

静かなる革命へのブループリント: この国の未来をつくる7つの対話
宇野 常寛, 猪子 寿之, 落合 陽一, 尾原 和啓,
門脇 耕三, 駒崎 弘樹, 根津 孝太, 吉田 浩一郎
河出書房新社 ( 2014-06-25 )
ISBN: 9784309246611


本書は宇野さんと7人の若手の起業家・クリエイター・デザイナーの方々との対談です。気になった点の「一部」をコメントしたいと思います。あくまでも「一部」です。「全部」を紹介すると、おそらく数倍になってしまいます。


吉田浩一郎 これからの働き方
フリーランスに年収500万円を保証する


非正規雇用者の社会保障問題

宇野:「誰もが正社員になれた時代」を取り戻すのではなく、非正規雇用やフリーランスでもちゃんと生活できる社会を目指さなければいけない。


21世紀以降も、派遣法の改正等により、日本の雇用慣行はますます硬直化してしまいました。非正規雇用者のための社会保障インフラが必要というのは賛成です。日本の左派政党がそのことを分かっていないことが残念です。


駒崎弘樹 政治と社会運動
デモと選挙の中間に、政治を変える方法が


寄付金が所得控除ではなく税額控除される!

駒崎:寄付した額の半分を自分の所得税から引っこ抜けるようにしたんです。つまり、10万円寄付したら5万円を所得税から抜いていい、と。(中略)

世界最高の寄付税制が日本において実現したというものすごいニュースであるにもかかわらず、法案が通ったあともメディアは大して騒がなかった。そのときに、もしかしたら変革のイメージというのは、救世主が劇的に現れてパーンと変わるよりは、いつの間にか良くなってるほうがいいのかもしれないと思ったんです。


えー!知りませんでした。早速検索してみると、国税庁のホームページに説明がありますが・・・



ちょっと難解で分かりづらいです。ざっと呼んだ限り、寄付先が「認定NPO法人等」に限られていて、すべてのNPOが対象になっていないようです。また、大学や学校法人への寄付金も対象のようです。まだこちらのほうが説明として分かりやすいです。



Amazonで検索した限り「寄付」&「所得控除」に関する本は出版されていません。認定を受けているNPO法人、大学、学校法人は、積極的にアピールしたほうがいいのではないかと気づきました。


「静かなる革命」

さて、駒崎さんの「救世主が劇的に現れてパーンと変わるよりは、いつの間にか良くなってる」という言葉が、「静かなる革命」という本書のタイトルに表れている重要なメッセージではないかと思います。宇野さんは「革命」と表現していますが、社会変革だと考えれば、決して宇野さんは使いませんが、この英語訳は「イノベーション」ではないかと思います。


日本の財政破綻

駒崎:中央官庁の若手と話すと、「他の場所では言えませんが、この国はもう一回焼け野原になったほうがいい」という話は必ず出てきます。

私もそう思います。今瀬戸際です。消費税増税のタイミングやオリンピック特需などの影響により、それがいつ来るか分かりませんが、円暴落というかたちで必ず訪れると思っています。


尾原和啓 ITビジネス
21世紀の人類は「日本化」する


残念な日本のネット言論

宇野:日本のソーシャルメディアの世界が沈没しているからです。後で話すつもりですが、昨年夏の参議院選挙でネトウヨ的、ないし放射脳的な動員が勝利したことによって、20年のあいだ積み上げてきた日本のインターネット文化では現実の世界を変えられないどころか、より悲惨な状況にしかならないことが明らかになってしまった。


このことは、7月19日のゲストトークでもそのように話されていました。世相を非常に端的に分かりやすく表現してくれています。私が上のほうで宇野さんのことを「社会に対する深い洞察、切れ味するどい風刺。」と評したのは、まさにこういった面です。


宇野さんのコミュニティ論

宇野:やせ細ってしまった中間のコミュニティを、今までとは別のかたちで太らせるしかない。メディアの肥大に対抗できるのは別のメディアではなく、コミュニティなんです。だからインターネットの双方向性を活かして、趣味やライフスタイルのような共通性にもとづいたテーマコミュニティをたくさんつくっていくべきなんです。


宇野さんと私が接点があるとすれば、おそらくこのコミュニティによる変革です。インターネットの双方向性を活かしてコミュニティを活性化し、静かに社会を変革していく力に変わっていく・・・それが私の描いている世界観・未来像と一致しています。


少子化問題の本質

尾原:僕は少子化問題の本質って、「親の面倒は子どもが見る」というルールがなくなったことにあると思っているんです。要するに「子どもを産む」という行為は、自分が困ったときに子どもが助けてくれることを期待して行われてきたわけで、その意味で子どもって最大の保険だったんですよ。でも「親の面倒は子どもが見る」というルールがなくなると、子育てって時間もコストもかかるから、リスクばかりが顕在化しちゃうんですよね。


少しだけ子どもの多い私には、少子化問題解決には多大なる関心がありますが、この視点には気づきませんでした。本質的には子どもが親の面倒を見るべきだと思いますが、私も父母の面倒を見ているわけではありません。父母は故郷の愛知県にいて、一方、子どもの教育を考えると東京を離れられません。このままでいいのか?というジレンマを感じています。


職業、保険、医療などの生活インフラの民主化

尾原:職業、保険、医療といった生活インフラをいかに民主化させて人々のライフスタイルに合ったかたちにしていくか、というプラットフォームの整備が需要なんですね。


ネタばれするとのことで、本書ではこれ以上触れられていませんでしたが、方向性はなんとなくわかります。


参考書籍


ちょうど先日、読了したところです。




駒崎さんの本を何か読もうと思って、Amazonで探したところ、この本がいいかなと思った次第。次に読む本として本棚登録しました。



ITビジネスの原理
尾原 和啓
NHK出版 ( 2014-01-28 )
ISBN: 9784140816240


『静かなる革命~』を呼んで、ちょっと気になったのが尾原さんの本です。「効率化の<アメリカ的インターネット>、過剰さの<日本的インターネット>」ということが書かれているようです。次に読む本として本棚登録しました。



関連動画


本書最年少で、対談時点では26歳だった落合陽一さん。『甲殻機動隊』等、本書で書かれている話題で共有できるものがほとんどないため、少し話しがついていけていないところがありますが、なにやら一番凄みを感じます。


先の50年は実体をコンピュータグラフィックス化した。

次の50年はコンピュータグラフィックスが実体化する。




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