<目次>
  • はじめに
  • 第1章 北海道・東北
  • 第2章 関東・甲信越
  • 第3章 東海・北陸
  • 第4章 近畿・中国
  • 第5章 四国・九州
  • あとがき


しばらく書評が書けていませんでした。いくつか連投します。


てっちゃんの種別


鉄道関連の新刊新書は、てっちゃんとしては必読書です。てっちゃんには主に、「乗り鉄派」と「撮り鉄派」があります。私は「乗り鉄派」です。本書は、「乗り鉄派」のための書です。


てっちゃんではない方には意外かもしれませんが、「撮り鉄派」の方は必ずしも鉄道に乗りません。撮影スポットへのフットワークは、鉄道よりも自家用車が便利だからです。自家用車を持っていない私は、「撮り鉄派」になりようがありません。かくして私は「乗り鉄派」です。


しかし、「乗り鉄」と言っても、本格的に「乗り鉄」をしている人から比べれば、素人同然。本格的な人が幕内力士であれば、私などは序の口から序二段あたりでしょう。一応、乗ってはいるものの、講釈を垂れるほどの経験値を有しているわけではありません。


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日本は乗り鉄大国


前置きが長くなりました。言いたいことの一つ目は、「日本は乗り鉄大国であること」。


日本は世界でもっとも「乗り鉄」が楽しめる国ではないかと思う。 (P10)


良いことを言ってくれるではありませんか。日本ほど鉄道路線の密度、鉄道運行の密度が高い国はないでしょう。


先週、8時間かけて岐阜県から東京まで中央線経由で帰宅したわけですが、8時間の乗車も苦にならないことを確認できましたので、今後、もう少し長時間の遠征もしたいと思います。


新幹線の功罪


言いたいことの二つ目は、新幹線の功罪です。


国鉄時代は、東海道新幹線、山陽新幹線、東北新幹線(盛岡まで)、上越新幹線。ここまではよしとしましょう。問題はJR発足後です。


山形新幹線、秋田新幹線などのミニ新幹線。ゲージ幅の変更になり、奥羽本線は新庄で分断され、直通運転が不可能になりました。


次に、東北新幹線の盛岡以北、北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線。これらの開通と引き換えに、並行在来線は全て第三セクターになりました。


分断

結果的にどうなったか。地方の中核都市が東京(あるいは福岡)と結ばれ、都市間移動はラクになったのかもしれません。しかし、同時に分断も起きてしまっています。中でも分断がひどいのは北陸新幹線です。第三セクターは県単位で経営されていますので、長野から金沢まで、4つの会社に分断されてしまいました。


  • しなの鉄道(長野~妙高高原)
  • えちごトキめき鉄道(妙高高原~直江津~市振)
  • あいの風とやま鉄道(市振~倶利伽羅)
  • IRいしかわ鉄道(倶利伽羅~金沢)


冨山から関西方面は不便になり、乗り換えの手間を考えると所要時間の短縮になっておらず、しかも料金値上げになっている。近年は「新幹線ができるのなら他の鉄道は犠牲になってもいい」という風潮があり、新幹線以外の鉄道離れが加速するのではと危惧してしまう。 (P128)


分断例

新幹線ができる前、新幹線の駅の数以上に特急停車駅はありました。越後湯沢と金沢を結んでいた在来線特急「はくたか」の金沢~直江津間の停車駅は、次のようになっていました。


  • 金沢駅 - (石動駅) - 高岡駅 - 富山駅 - (滑川駅) - (魚津駅) - (黒部駅) - (入善駅) - (糸魚川駅) - 直江津駅


このうち、石動、滑川、魚津、入善は、北陸新幹線が停まりません。北陸新幹線開業前は、魚津駅には、大阪行きのサンダーバードもありました。魚津から大阪へ行くには、新幹線開業前は直通で行けたのに、新幹線開業後は2回乗り換えが必要になりました。


  • 魚津~富山:あいの風とやま鉄道
  • 富山~金沢:北陸新幹線
  • 金沢~大阪:サンダーバード


こんなことが、JR以降の新幹線開通区間のあちこちで発生しているわけです。以下は、九州新幹線開通の例です。

新幹線の駅ができた町はいいが、新幹線が停まらなかった町は、博多に出るにも乗り換えを強いられ、不便になった上に運賃は高くなり、さらには第三セクター鉄道の運営まで押しつけられた格好だ。 (P219)


新幹線の罪

結果的に、新幹線開通が地域の分断化を招いてしまったことになります。以下の著者の言葉に全く同感です。

「鉄道」というのはネットワークが大切で、ネットワークなくして本領を発揮できないと思っている。そう考えると、近年の新幹線はネットワークより点と点の輸送に重きを置いて、エリア全体の利便性がおろそかになっている気がするのである。点と点の輸送なら航空機がもっとも得意とする分野で、鉄道にはもっと鉄道の得意とするやり方があるのではないかと思うことがある。 (P245)


本当にこれでいいのだろうか?ということを、新幹線が通る自治体の政治家のみなさんにもう一度考えて頂ければ幸いです。


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新幹線路線図
photo credit : Hisagi via Wikipedia ( lic : CC 表示-継承 4.0 )




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