私が時間を有効に使い読書しようと心がけたのは、恐らく人生において二度ほどある。一つは大学入学から20代までで、もう一つが40手前からだ。今はその二つ目の延長線上にあり、今のところ8年連続で100冊以上の本を読むようになった。2008年からは、すべての読書を記録に取っているが、それ以前は記録を取っていなかったため、今となっては何冊読んでいたのか分からないけれども、少なくて20冊、多くても30~40冊ぐらいだったのではないかと思う。


読書の景色

100冊読むようになって8年間、景色が随分と変わった。人のことがよく分かるようになったのだ。かつて上司が私に言った言葉がある。「お前は人が良すぎる。人には裏があるのに、見抜けていない。人を見る目を養うには、読書だ。俺は2000冊読んだ。それでもまだまだ人のことが分からない。だから今も読み続ける。お前も読め」。その時はよく分からなかったが、結果的に、この上司の言葉は正しかった。


大学時代の思い出の読書

大学時代の話に戻ろう。大学生協の書店コーナーによく行ったものだ。大学生になって読書を嗜む、なんとも知的な香がすると思った。入学して早々、二つの本を読んだ。二つともベストセラーだった。一つは『ノルウェイの森』。これは一つ上の先輩が読んでいたので、薦められて読んだ。もう一つは『ゲームの達人』。「超訳」という触れ込みで売れていた。


ゲームの達人 <上>
シドニィ シェルダン, 中山 和郎, 天馬 龍行
アカデミー出版サービス ( 1987-12 )
ISBN: 9784900430037


好物の分野

『ゲームの達人』は、約100年、4代に及ぶ冒険活劇である。ページを捲ると突然主人公が死んでしまい、その奇想天外な展開に、手に汗を滲ませ、一気に読んだものだ。上下巻に分かれており、すぐに下巻を買いに行った。私は、冒険活劇物が好きだ。映画で言えば『インディー・ジョーンズ』シリーズなど、アニメで言えば『銀河鉄道999』など、大好物である。本で言えば、空想ものの『ガリバー旅行記』よりも、少年冒険ものだった『トム・ソーヤの冒険』、『十五少年漂流記』、『ジョン万次郎漂流記』など、なぜか漂流ものが好きだった。


記憶に残る読書と残らない読書

『ゲームの達人』を読んだ時、もちろん、書評を書かなかった。トムも十五少年もジョンも。しかし、全て、ぼんやりとではあるが、物語を覚えている。ところがだ・・・『ノルウェイの森』については、全く記憶にない。たしかに上下巻、読破したはずだ。ちょっとエッチな恋愛小説だったはずだが、どんな情景か覚えていない。当時、恋愛経験もなかったため、主人公への感情移入もできなかったのだと思う。


のめり込むような好きな話であれば、心の中で反芻し、覚えている。しかし、のめり込むほどではない程度の話だと、覚えていない。


読書記録と書評ブログ

今ならそんなことはない。2008年から読書記録をつけ始め、必ずメモを残している。本と出会ったきっかけ、目次、気になったフレーズを掻き出している。同じ本でも、出会った時の心情によって、読み方も印象も変わる。出会いを書き留めておくことは重要である。


記録を取るきっかけになったのは、本田直之氏の『レバレッジ・リーディング』。読書記録をつけるきっかけとなった人も多いのではないだろうか。


レバレッジ・リーディング
本田 直之
東洋経済新報社 ( 2006-12-01 )
ISBN: 9784492042694


また、2010年からは今のブログを書き始めた。書評ブロガーと名を馳せていた元マイクロソフト社長の成毛眞氏が本のキュレーター勉強会を開始するとのことで、私も申し込んだ。氏の読書術は、毒舌で賛否両論が激しい。



60人中当選者は8人とのことで落選した。しかしそれでも、ブログを続けた。更新が途絶えた時期もあるけど、2014年8月末からは、2年間連続で毎日更新中である。ブログ記事の4割は書評だ。書評の数も400本を超えた。書評を書くようになって、圧倒的に、本の内容を記憶するようになった。記憶が薄れても、Google検索すれば、自分の書評を探せる。ありがたいことである。


アウトプット

読書で大切なのは、インプットよりアウトプットである。なぜなら、人はインプットしたことよりもアウトプットしたことを記憶するから。


代表的なアウトプット方法が、書評であり、読書会への参加である。


書評は人のためならず

「情けは人のためならず」という慣用句は、人に対して情けをかけるとその人のためにならない、という意味と誤解されがちだけど、正しい意味は、人に情けをかければ、巡り巡って自分に返ってくるという意味。


「情けは人のためならず」と同様「書評は人のためならず」。


書評もまた、人の役に立つこともあるが、何よりも自分の役に立つ。先に述べた通り、記憶に残る。『ノルウェイの森』で失敗したように、読んだのにすっかり忘れてしまうことはない。


読書会への参加

読書会への参加も、貴重なアウトプットの機会である。隔週木曜日朝7時からは、渋谷で読書会に参加している。別の読書会も含めると、かれこれ2010年からずっと参加している。色んな読書会があるけれど、共通しているのは、読んだ本を紹介すること。読まない本を紹介する読書会もあったりしたが。読書会に参加し、人に紹介することでアウトプットに繋がる。そして同時に紹介も受ける。貴重な選書方法でもある。


読書会に興味のある方はぜひお声がけください。そして、このシミルボンでも、読書会を開催したい。


多くの人が、読書をインプットだけではなく、アウトプットも嗜んで頂ければと思う。私の書評、私の読書会への参加記録が、多少なりとも参考になればと思う。



本コラムは、書評サイト・シミルボン用に書き下ろした。



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