<目次>
- ヴェリエール
- レナール家
- レナール夫人
- ブザンソン神学校
- マチルド
- 真実の愛
『赤と黒』を読めという方々の声
2018年もまもなく半分が終わろうとしているというのに、昨年末に世界の文学作品を読むという決意が、遅々として読み終わりません。しかもその予定作品を差し置いて、その候補に入れなかった『赤と黒』に寄り道してしまいました。しかし、この寄り道は結果的に正解でした。
『赤と黒』は、サマーセット・モームが世界の十大小説の一つとして挙げただけでなく、明治大学の齋藤孝氏が「マイ古典50選」に選び、また読書会でもこの1年以内に2回推薦された本です。
- 【書評】『古典力』齋藤孝のマイ古典50選 : なおきのブログ
- 【朝活読書サロン】すべての読みたい本が読めるわけではない(2017年4月24日) : なおきのブログ
- 【品川読書会】第13回(2018年4月11日) : なおきのブログ
方々から『赤と黒』を読め、読め、という声が迫ってきます。ならば読んでやろうぞ!と思いつつも、光文社古典新訳版で1100ページにもなる大著。おいそれと読めません。かくしてマンガでお茶を濁した次第。しかし、マンガと侮るなかれ。この『赤と黒 (まんがで読破)』に関して言えば、読み応え十分です。
時代背景
時に19世紀前半のフランス。時に1830年。ナポレオンの失脚、王政復古が起きたのが1815年。王政復古により貴族たちも復権しますが、また民主化の揺り戻しがおき、次の七月革命が起きたのが1830年。本書の舞台はその七月革命前あたりです。
立身出世
主人公ジュリアン・ソレルは貧しい製材屋の息子。ナポレオンのような立身出世を目指すものの、階級社会に戻ってしまったため、容易にはかないません。もう一つの立身出世の道としての聖職者の道も視野にいれます。ナポレオンの象徴の色が赤に対し、聖職者の象徴の色が黒。つまり、「赤と黒」はジュリアンにとっての立身出世のための象徴的な色なのでしょう。
誘惑
立身出世を果たさんがため、二人の貴族女性に取り入り、嫉妬心をうまく操ることで誘惑し、彼に夢中にさせることに成功します。一人目は家庭教師先のレーナル家の夫人。不倫が発覚しそうになりますが難を逃れ、秘書として雇われ先のパリのラ・モール公爵家のタカピーな娘マチルドを落とし、爵位を得て婚約します。
妬み
としかし、成上りの出世は周囲に妬みも生まれます。レナール夫人に裏切られたと勘違いをしたジュリアンはレナール夫人を撃ち、夫人は一命をとりとめたものの、裁判にかけられます。マチルドはジュリアンを助けるべく貴族階級の陪審たちを買収し、ジュリアンが計画性を否定すれば救われるところを、ジュリアンはそんな貴族たちを嘲笑い、自らの計画性を主張してしまったため、死刑判決が下されます。
世相を表す
ジュリアンの気持ちは、貴族階級に押さえつけられ、貴族たちに不満を持っていた当時の庶民階級の気持ちを代弁したものなのかもしれません。
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