ロボット (岩波文庫)
カレル・チャペック
岩波書店 ( 2003-03-14 )
ISBN: 9784003277423

ロボットという言葉はこの戯曲で生まれて世界中に広まった。舞台は人造人間の製造販売を一手にまかなっている工場。人間の労働を肩代わりしていたロボットたちが団結して反乱を起こし、人類抹殺を開始する。機械文明の発達がはたして人間に幸福をもたらすか否かを問うたチャペック(1890-1938)の予言的作品

本書表紙カバーの紹介文より


右側が三体のロボット
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image via Wikipedia under license of P.D.

「ロボット」の原点


本書はロボットの原点、というより、そもそも「ロボット」という言葉は、本書の著者カレル・チャペック(あるいは彼の兄)によって発明されました。あとがきに当時の新聞からの引用があります。


「その人工の労働者をどう読んだらいいのか分からないんだ」と、著者はいった。「もし、ラボルとでもいうと、どうも自分には本物らしくなく思えてね」

「じゃあロボットにしたら」と、画家は口に刷毛をくわえて、絵を描きながらいった。出典「リドベー・ノビニ」(人民新聞)1933年12月24日 (P198)

働く能力はあるが、考えることのできないものをどう表現したらいいのか考えてみた。このアイディアがチェコの言葉 -ロボット- で表現されたのである。出典「イブニング・スタンダード」1924年6月2日 (P198)


SFの大家で「ロボット工学三原則」を提唱したアイザック・アシモフが『われはロボット』を著したのが1950年。チャペックのこの戯曲は、アシモフにも影響を与えていたはずです。

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テクノロジーではなく社会の変容に焦点


本書では、テクノロジーについてはほとんど触れられていません。一応少しは書かれていますが、今日から見ると無意味です。それよりも、テクノロジーがもたらす社会の変容に焦点を合わせています。


本書は、最先端のテクノロジーの受容による人間性の阻害、ロボットの反乱を描きます。テクノロジーがもたらす人間性の阻害という点では、チャールズ・チャップリンの1936年の作品『モダン・タイムズ』に通じるものがあります。


また、ロボットによる反乱という点では言わずもがな。『ターミネーター』シリーズ、『マトリックス』シリーズ、『スター・ウォーズ』のクローンたち、ウィル・スミス主演の『アイ,ロボット』など、多くの映画の下地になりました。


ロボットが反乱を起こしたシーン
ロボットの反乱
image via Wikipedia under license of P.D.

どのように社会は変容するのか?


なぜ、ロボットを開発し、普及させたのか。本書の主人公のロボット製造販売会社の社長ハリー・ドミンの願いは、人間の労働時間を減らすこと、人間を苦役から解放するためでした。そして、人生をより豊かなものにするためと信じてのことです。

ヘレナ:それせはどうしてお作りになっているの?

ファブリ:お嬢さん、仕事をさせるためです。一体のロボットは二人半分の仕事をします。グローリー様、人間という機械はとっても不完全だったのです。いつかは最終的に除去されねばならなかったのです。 (P43)


しかし、実際は仕事を失うことをも意味します。

ブスマン:五年後にはあらゆる物の値段が十分の一になるということをです。ねえ、五年たてば小麦でも何でも山とあるようになりますよ。

アルクビスト:そうとも、そして世界中の労働者が仕事を失うのさ。 (P50)

現代にも通じるものがあるのではないでしょうか?


そして序盤から10年後、さらに困った事態が生じます。そしてその困った事態は、現在、日本が世界で最も直面している危機でもあります。


ネタばれになりますので、続きは本書にて。あっさり読めるので、お薦めです。

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おおまかなあらすじ
  • 序章  ロボットは何のため作られたのか?社会はどう変わるのか?
  • 第一章 10年後、実際、社会はどう変わったのか?
  • 第二章 ロボットが人類に反乱を起こした。その原因は?
  • 第三章 一人を残して人類は滅亡した。残されたロボットの意外な結末



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