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毎年11-12月には翌年の大河ドラマの予習をすることにしています。今年の井伊直虎の場合、元々マイナーな存在ということもあり、ほとんど知りませんでしたし、それほど多くの本が出版されませんでした。


しかし、来年の大河ドラマの主人公は西郷隆盛。もちろん、歴史上の人物ではよく知っているほうですし、また、より取り見取りの本が出版されています。選ぶのが容易ではありません。


そこで、古典的な西郷隆盛の本はないだろうか?と思いつき、岩波新書青版を探していると、この本を見つけた次第です。


知っているつもりだった西郷隆盛。大河ドラマでも数多くの西郷隆盛を見てきてしまったため、ドラマのイメージに引っ張られてしまった感もあります。本書を読んでみて、手垢がつく前の知らない西郷隆盛像がありました。


いつから公武合体から倒幕へ転向したのか

大河ドラマを見ていると、倒幕への転向は大政奉還ギリギリのように感じられたのですが、本書を読む限り、かなり早い段階で幕府に失望し、倒幕を志していたことが伺えます。そのきっかけは勝海舟との面談だったとのことです。勝海舟自身が幕府に失望していました。


島津斉彬公の先見の明もあり、薩摩藩は軍備増強に力を入れていたこともあり、当時すでに最強だった様子が伺えます。


島津久光にも抜擢されたことにより、長州征伐での総督を拝命する機会を得、その後は薩摩軍を統率する立場になります。第一次長州征伐では戦うも、第二次長州征伐は出兵を拒否。結果的に幕府軍は敗北し、幕府の権威の失墜が加速します。


四侯会議では決裂を演出して武力倒幕の機会を作りました。もっとも、この時は幕府が機先を制し、大政奉還をしますが。


武力による威圧

最強の薩摩軍を統率する立場だったこともあり、かなり強引に武力による威圧を行います。


  • 1867年12月、王政復古のクーデターから1968年の江戸進軍まで。
  • 1871年1月、薩摩軍を率いて上京し威圧した上での参議就任


そしてこの延長線上が、西南戦争です。士族で構成された反乱軍は、武力で威圧さえすれば、徴兵制による農民で構成された政府軍に勝てると高を括っていたようです。しかし、結果的に大敗したのは史実のとおり。


江戸無血開城の真の理由

これは知りませんでした。一般的には勝海舟との会談で無血開城が実現したと言われていますが、本書によると、西郷はあくまでも武力鎮圧を目指していたそうで、イギリスの威圧に屈して武力鎮圧を諦めたとのことです。白旗を挙げた者を打ち滅ぼすのは当時のヨーロッパでは許されないことで、そのような暴挙に出るならイギリスは幕府側につくとイギリス公使パークスが西郷を脅したとのことでした。


征韓論の背景

征韓論に至る理由も、本書ではっきり分かりました。漠然と士族の不満を晴らすためということは知っていたのですが、歴史事象の順序で言えば、その前に史実は「徴兵制」。士族ではなく農民から募ることにしたことで、多くの士族が激怒しました。


西郷は、戦略家というよりも人情家。不平士族の声に押され、大局を見失ってしまったと本書では西郷を批判します。


本書は四部構成で194ページ。簡潔で読みやすく、お薦めです。


目次
  • Ⅰ 薩摩藩の担い手
  • Ⅱ 幕府打倒
  • Ⅲ 征韓論
  • Ⅳ 西南戦争


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西郷隆盛
via wikipedia (license : Public Domain)



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