一昨日の9月1日、急遽、2020年の東京オリンピックのロゴマークの使用が中止になりました。この事件を私がどのような印象で受け止めたかを、思うがままに書き留めておきたいと思います。スタンスとしては、冷静かつ中立な立場のつもりでいますが、最後は少し感情的なってしまったかもしれません。


嘘つきのパラドックス


「嘘つきのパラドックス」というものがあります。「私は嘘つきです」というのは、真か偽かという命題です。嘘つきなら、「私は嘘つきです」というのも嘘になるため、私は嘘つきではないことになる。そうすると「私は嘘つきです」と矛盾する。循環してしまい、永遠に解は見つかりません。


では、「私は正直です」と答えたとする。本当のことかもしれないし、嘘をついているかもしれない。しかし、当人が「私は嘘つきです」と言わない限り、嘘つきかどうかわからない。しかし、「私は嘘つきです」と言ってしまうと。。。


今回のロゴの件、原案からの修正過程が開示された時点で、最終案をベルギーのリエージュ美術館のロゴから盗用したという疑惑はほぼなくなったと考えています。一方、原案のほうは、2013年のヤン・チヒョルトの展覧会のロゴと酷似しており、こちらは最終的に盗用疑惑は晴れていないと考えています。また、羽田空港と渋谷を背景にしたロゴの展開例については、佐野研二郎氏は盗用を認めています。ただ、ロゴ本体と比べれば、瑣末なことです。


推定有罪か推定無罪か


「推定有罪」あるいは「推定無罪」という考え方があります。怪しきは罰するのか、怪しきは罰しないのか。私は推定無罪であるべきだと考えています。羽田空港と渋谷の展開例はともかく、ロゴ自体は、リエージュ美術館からの盗用疑惑も、もヤン・チヒョルトの展覧会からの盗用疑惑も、また、ネット上で炎上している佐野研二郎氏の盗用疑惑のほとんどは、サントリーのトートバックを除けば、「疑惑」の段階でしかなく、推定無罪です。


嘘をついているのではないかと言い出したら、キリがありません。佐野氏のことを「嘘つき」と断罪している人たちこそ、あなたが嘘をついていないことを証明いただきたいものです。


しかし、「ある」ことを証明することはできても、「ない」ことを証明することは不可能です。これは、論理学の基礎です。


一体何が問題だったのだろうか。


今回の問題は何かと言えば、盗用があったかどうかの真実よりも、信頼を失ったことにあります。佐野氏も盗用を理由に取り下げたのではなく、誹謗中傷に耐えられなくなって取り下げたとしています。大会組織委員会もそのように認めています。


佐野氏はいったいどこでミスを犯したのだろうか?盗用していないと弁明した時期と、たまたまサントリーのトートバックの問題の時期が重なってしまいました。弁明をしないほうがよかったのだろうか?正直、よくわからない。


また、ネット言論空間のこの過剰とも言えそうな暴走は是なのか非なのか。佐野氏を糾弾している人たちが、正しい判断で糾弾しているようには見えない。どちらかというと、私刑、リンチに近い。佐野氏のメールアドレスを悪用したり、親族の写真をばらまいたり、それこそ盗用でないか?


佐野氏がたとえ悪人だったとしても、そのような糾弾は許されるものではない、そう私は思います。



佐野研二郎氏の弁明


佐野研二郎氏の弁明


テキストに書き下ろしました。

自宅や実家、事務所にメディアの取材が昼夜、休日問わず来ています。

事実関係の確認がなされないまま断片的に、報道されることもしばしばありました。


また、私個人の会社のメールアドレスがネット上で話題にされ、

様々なオンラインアカウントに無断で登録され、毎日、誹謗中傷のメールが送られ、

記憶にないショッピングサイトやSNSから入会確認のメールが届きます。

自分のみならず、家族や無関係の親族の写真もネット上にさらされるなどの

プライバシー侵害もあり、異常な状況が今も続いています。


今の状況はコンペに参加した当時の自分の思いとは、全く別の方向に向かって

しまいました。もうこれ以上は、人間として耐えられない限界状況だと思うに至りました。


組織委員会の皆様、審査委員会、制作者である私地震とで協議をする中、

オリンピック・パラリンピックを成功させたいとひとえに祈念する気持ちに

変わりがない旨を再度皆様にお伝えいたしました。

また、このような騒動や私自身や作品への疑義に対して繰り返される

批判やバッシングから、家族やスタッフを守る為にも、もうこれ以上今の状況を

続けることは難しいと判断し、今回の取り下げに関して私自身も決断致しました。


佐野研二郎氏をネットで糾弾している方々、あなた方にここまで人を苦しめる権利があるのか、私はそう問いたいと思います。



関連リンク φ(。。;)メモ



今回も反対派のブログでザハのアーチが槍玉に挙げられると、アーチの基礎が地下鉄にぶつかる、アーチのせいで見積もりが高騰したなどという不確かな情報が一人歩きし、ザハ事務所が声明を出すたびにヘイトスピーチが沸き起こるようになってしまった。ああなってしまうと専門家がどれだけ擁護をしようが、中身の話ができなくなってしまう。それはとても恐ろしいことだと思いました。



↓↓参考になったらクリック願います↓↓
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村