<目次>
- はじめに
- 第一章 グローバルカンパニーと世界放浪を経て飛騨へ
- 第二章 日本の田舎は世界に通じる
- 第三章 タダの景色でお金を稼ごう
- 第四章 大変だけど楽しい田舎暮らし
- 第五章 企業経営の手法を地域経営に
- 第六章 日本と世界の田舎をクールに
- あとがき
あれはいつだったか正確には覚えておりませんが、幼少のころに親に連れられて飛騨古川に訪れたことがあります。そのあとに、高山に二度訪れたことがあります。一度目は高校、二度目は社会人三年目ごろでしょうか。東京からのアクセスは決してよくありませんが、愛知県出身の私にとっては、岐阜県北部の飛騨は、比較的行きやすい観光地でした。
飛騨といえば、高山も古川も下呂も、古い街並みやその街並みを構成する古民家が魅力的です。しかし、本書の唱える「クールな田舎」は、古い町並みや古民家に留まりません。「クールな田舎」の核心部分は、「水田」です。水田を巡るサイクリングツアーを含む飛騨古川の「SATOYAMA EXPERIENCE」は、トリップアドバイザーで93%の人が5段階評価の5をつけています。
何気ない「水田」を観光資源にしてしまう。なぜそのことに著者の山田拓氏は気付きえたのか。それは、彼が1.5年に及ぶ世界放浪の旅行を経験したからです。
欧米には水田がありません。日本以外にも、韓国、中国、タイ、ベトナムなどに当たり前にある水田が、欧米にはないのです。麦畑には水を張る必要がありませんので。
山田拓氏は、世界を放浪する中で、各国の何気ない風景に魅了されました。現地の人にとっては当たり前の風景が、異邦人である自分に魅力的な景色に見えたのではないでしょうか。その経験があったからこそ、何気ない日本の「水田」風景の価値も気づき得たのだと思います。
とはいえ、順風満帆ではありません。現在でこそ、欧米人がこぞって飛騨古川を訪れるようになりましたが、ここまでの道のりは、平坦ではありませんでした。その紆余曲折の経緯は、本書を参照いただければと思います。
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