子ども同士のキス
フラート:子どもたちのように恋愛以下のキスやハグするような男女関係
image via Best Wallpapers Here



不倫はいまではぜったいに必要な、なくてはならない人間関係なんですよ。絶対なんです。


と衝撃的な一文から本書。もっとも、不倫自体を肯定しているわけではありません。現在、我々はある種の恋愛観、結婚観、貞操観を持っています。そのような価値観が歴史上どのように形成され、また今後、男女はどのような関係が望ましいのか?ということが本書の命題です。


本書の目的は、愛およびセックスの歓びについて、人々は社会によってどのように教育されてきたか、影響を受けてきたか、および、これからの愛とセックスはどのような変化を遂げていくのか、その全体像を俯瞰して示そうとするものである。


本書の骨子

<目次>
  • 第一章 人にはなぜ愛人が必要なのか
  • 第二章 愛はいつまでも続かない
  • 第三章 官能教育
  • 第四章 どうして不倫はいけないのか
  • 第五章 究極の贈り物
  • 第六章 セックスに対抗するにはキスしかない。


巻頭に本書の骨子が書かれていますので、抜粋して要約(意訳)します。


  • 世界には現在も一夫一妻制度からはみ出た社会がある。
  • 一夫一妻制度は近代、特にフランス革命以降成立した。
  • 古代ギリシアでは愛をエロス、フィリア、アガペーの3つの形で表した。
  • 妻・愛人・そして女友だち
  • 恋愛未満のセクシーな男女関係


恋愛観、結婚観、貞操観の歴史的経緯


さて、我々が現在持っている恋愛観や結婚観や貞操観、一夫一妻制度は、日本においては明治維新以降にキリスト教解禁とともに西洋からもたらされました。特に本書で触れられていることではありませんが、江戸時代は側室・妾を持つことは決して不貞ではありませんでしたし、江戸は吉原という巨大な遊郭を有しており、それなりの需要があったことを物語っています。


ヨーロッパでも、フランス革命以降、特に19世紀に今日の貞操感が確立したようです。

19世紀のヴィクトリア朝という時代はヨーロッパ人の性道徳がもっとも厳しい戒律と抑圧のもとにおかれた時代で、肉体は人間の尊厳をおびやかすものとして社会の表面から一掃され、それらは決して触れてはいけない事柄となっていた。


フランス革命のスローガンは、自由・平等・友愛でした。19世紀にはこれらの価値観が西洋社会で急速に普及していったのだと思いますが、自由・平等のスローガンの下、女性の地位向上が図られるとともに、同時に性愛も封じこめられてしまったようです。


本書の挿絵に登場する『フリュネの裁判』
フリュネの裁判

ジャン=レオン・ジェローム画 『Phryné devant l'Areopage』
image via Wikipedia (License: CC0)
絶世の美女と言われたフリュネは代表的なヘタイラだった。
神を冒涜した罪で裁判にかけられるが、美しい裸体により無罪となった。


では、18世紀以前はどうだったのでしょうか?少し時代をさかのぼり、古代ギリシアに飛びます。古代ギリシアでは、愛を三つのかたち、エロス、フィリア、アガペーに区別されていました。

ジャック・アタリによれば、「エロスは性的魅力や欲望を表す。アガペーは感情移入を意味し、真実・他者・人類に対する愛、愛他精神を表す。そしてフィリアは友情を示す」となっている。

「ギリシア市民の大部分は、家を守り子どもを産み育てるための妻を1人と、ものにしたり略奪したりした内縁の妻たち、そして社会的立場としてはときとして売春に属するとされるヘタイラ(仲間、女友だち、愛人)を持っていた」


本書では現代社会においても、一夫一妻ではない社会をいくつか紹介しています。夫婦関係以外の性的関係を肯定するイヌイット、北部ナイジェリア、インドのムーリア族、ミクロネシアのウリシ島、「男が戦いに行くように女は愛人を持つ」というエチオピアの父系社会ボラナ、男が戦いに行くと妻同士が同性愛関係を作るというケニアのナンディ族など、例を挙げればきりがありません。


恋愛未満のセクシーな男女の関係


さて、本書の目的は、副題にある「私たちは愛とセックスをいかに教えられてきたか」、つまり今日の貞操感がいかに形成されてきたかという過去を問うだけでなく、これから未来に向けて人間本来の好ましい男女の関係を問うことにあります。

男性も女性も複数のパートナーと好ましい関係(性的な関係のみならず)を築くことができるような社会規範の成立こそ、いまもっとも求められているのではなかろうか?


その一つの解を、本書ではFlirtと呼びます。

そこで議論すべきがは「フラート」(flirt)という概念である。(中略)恋愛そのものではなく、ちょっとした恋の前段階、恋の戯れを指している。たとえば、視線のやりとり、誘惑、男にこびること(コケットリー)、ちょっとした接触、人目を忍ぶくちづけ、身体を密着させたダンス、気どった恋の駆け引き、「相手の注意を引き、欲望をかきたて、嫉妬心を刺激する行為」、それらすべてを指している。


Flirtってこんな感じだろうか。Flirtで検索してみた画像。
フラートな男女関係
image via MazaPoint(リンク先がスパム認定されたため、リンク先を削除)


一番好きな相手とは一緒になるか別れるかしかないけれど、二番手、三番手のボーイフレンドはいつまでも楽しませてくれるからね。つまり、こちら(男)の側としてみれば「あなたが二番目に好き」と言われるのがベストということなるわけだけど、そう言ってくれる女友だちを10人持ったら、どちらも本当にすてきな人生になるだろう。


一番の相手だと、うまくいかなかった場合、失恋・破局になるかもしれません。しかし二番目・三番目としての関係を築けたのなら・・・


「なおきさんが二番目に好き」という女友だちが10人いてくれないかなぁ、とついつい妄想してしまいました。


東京朝活読書会


さて、本書は2月10日の東京朝活読書会【テーマ:官能的な本(その4)】で紹介する予定だったのですが、こともあろうに、場所を間違えて参加できませんでした(涙)。ブログでの紹介をもって、参加の代替とさせていただきます。




↓↓参考になったらクリック願います↓↓
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村