「サーバント・リーダーシップ」という概念について、ずいぶん前から知っていたのだけれども、しっかりと文献を読んだことがありませんでした。たまたま勤務先の古本コーナーで発掘したので、読んでみました。
サーバント・リーダーシップとは、トップが引っ張るタイプのリーダーシップではなく、リーダーに続くフォロワーをリーダーが支援するというリーダーシップです。
「まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という実践哲学をサーバント・リーダーシップといいます。
本書で書かれていた逆ピラミッドの図を模して書いたのが、冒頭の絵です。少し変えているのは、顧客を逆ピラミッドの底辺とはせずに、ピラミッドの外に置いている点です。
なんということでしょうか。
実はこの図は、勤務先で用いている「顧客インサイト」の概念図でも用いている図と同一なのです。これは、顧客に対しての顔は、現場社員一人ひとりということを意味しています。それを支えるのがミドルマネジメントであり、それを支えるのが経営層、そして最後は社長です。(上図は、単純に三階層で表していますが、企業規模により、四階層、五階層・・・になります。)
私は、この図が好きです。ありとあらゆるビジネスに通じます。顧客に対面している人こそが、顧客にとってはその企業の顔になります。その責任と誇り、矜持を持って顧客に対峙すればいいのです。B2CビジネスであろうとB2Bビジネスであろうと、同一です。まさかこの図にここで会うとは思いませんでした。
<目次>
- はじめに - 金井壽宏
- Ⅰ サーバント・リーダーシップとは何か
- 1 リーダーシップに対する幻想と誤解
- 2 リーダーシップはフォロワーによって認められる
- 3 ロバート・K・グリーンリーフの「サーバント・リーダーシップ」
- 4 サーバント・リーダーの特徴と誤った解釈
- Ⅱ サーバント・リーダーの経営改革
- 1 サーバント・リーダーシップを生き方の基本姿勢に
- 2 資生堂が目指した「店頭起点」の経営改革
- 3 逆ピラミッド型の組織で店頭が、そして社員が変わる
- 4 サーバント・リーダーシップ理論との出会いと社内への浸透
- 5 私が考えるサーバント・リーダーの条件
- 6 『武士道』に「接ぎ木」の精神を学ぶ
- 7 「奉仕と献身」の政sンを経営に生かす
- Ⅲ サーバント・リーダーシップと使命感
- 1 企業のなかでのサーバント・リーダーシップ
- 2 社会のなかでのサーバント・リーダーシップ
- 3 日常生活のなかでのサーバント・リーダーシップ
- Ⅳ ミッションで支えて組織と人を動かす
- 1 池田守男さんのリーダーシップから学ぶべきこと
- 2 どんな経験によってサーバント・リーダーへと育っていくのか
- 3 サーバント・リーダーシップの表現型はいろいろ
- 4 (ミニ版)サーバント・リーダー入門
- サーバント・リーダーシップについてもっと知りたい人のために
- おわりに - 池田守男
関連書籍
偶然は続くものです。今、参議院議員選挙東京都選挙区から出馬する田中康夫氏のこの本を読んでいます。長野県知事後半に書いた本です。田中氏は、政治家とはサーバントリーダーだと書いているではありませんか。
そうです。企業経営者のみならず、政治家も、サーバントリーダーであるべきです。国民・県民・市民に奉仕するのが政治家です。それ以上でもそれ以下でもない。そのことを忘れて傲慢になると、舛添のように失敗します。まさに本書が警鐘しているように。
パワー動機に傾き過ぎて社会への貢献を忘れがちな組織のリーダーには、そういう貪欲な誘惑への解毒剤として、サーバント・リーダーシップにふれるのがいいだろう。会社の経営者や政治家、地方自治体の首長など、本来はサーバント・リーダーであるべき人たちの、不祥事がなくならない風潮を是正するために。 (P239)
- 出典:『サーバントリーダーシップ入門』
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