主催者が寝坊&遅刻するという失態で失礼しました。今回の参加人数は女性1名男性3名の4名でした。読書会とは、単に本の紹介だけでなく、本にまつわるエピソードを知る良い機会であり、今回も非常に含蓄の富んだ内容でした。次回は12月16日7:00am開催予定です。
- 前回:【品川読書会】第38回(2020年10月21日) on Zoom : なおきのブログ
- 品川読書会アーカイブ:品川読書会 : なおきのブログ
紹介を受けた本
『阪急電車』
ベストセラーになり映画化もされた有川浩さんの本。舞台は兵庫県宝塚駅と今津駅の間を結ぶ阪急今津線です。駅と駅の間のわずか2~3分の間のショートストーリーが織り交ぜられています。
たとえば、一級河川の武庫川を渡る鉄橋から中州に石積みされた「生」の字が見えます。地元ではよく知られているとのことです。2005年のJR西日本福知山線脱線事故で100名以上の方が亡くなられました。「生きろ」というメッセージを伝えているとのこと。中州ですので、増水時に流されてしまうと思いますが、毎年毎年ボランティアを募って、制作しなおしているとのことです。
『カーテンコール』
この選書はいわた書店の「一万円選書」によるもの。20冊分の書評をつけて応募すると、抽選で何名の方かに店主が選んだ1万円分の本が送られてくるとのことです。ある意味、老舗寿司屋での板前さんに「お任せ」みたいな感じです。紹介者曰く、この『カーテンコール』も自分だったら選ばなかっただろうとのこと。内容は、『阪急電車』と同様、ほっこり系の短編集とのことです。
「一万円選書」を企画しているいわた書店は、北海道砂川市にある本屋さん。かつて炭鉱で栄えた町で、最盛期には人口3万人を超え、現在は1万6千人です(Wikipediaによる)。そんな過疎地域における本屋さんの生き残り戦略です。
以下は私のコメントです。
個人経営書店の取り組み
ちなみに『カーテンコール』の解説は、岩田書店の店主さんご本人。マッチポンプと言われればその通りかもしれませんが、地方の店主が解説を書かせてもらっているという点で、出版社・編集者との縁があり、解説をお願いされるだけの信頼を得ている証です。
2001年に出版されたノンフィクション作家佐野眞一氏による『だれが「本」を殺すのか」によれば、書店の衰退は、ブックオフ・Amazonの台頭ではなく、コンビニに雑誌を奪われたことと、卸である取次にキャッシュフローを委ねてしまい生殺与奪の権を握られ、経営ができなかったことにあると喝破しています。私の自宅近くの2つの最寄り駅には、2004年頃、合計6つの書店がありましたが、今は2つしかありません。1つはチェーン店、もう1つは今にも朽ち果てそうなお店です。撤退した4店はすべて個人経営です。
通常、ビジネスでは、営業努力をする、顧客開拓に努める、商品を開発するのは当たり前のことです。この当たり前のことができていなかったのが書店業界です。個人経営の店はほぼ淘汰され、チェーン店ばかりになってしまいました。
そんな中、いわた書店の取り組みには敬服するとともに、エールを送りたいと思います。いつかまた北海道に行く機会があれば、行くべきスポットとしてマークしておきます。
『地球の歩き方』
先に紹介されてしまいました。昨日、衝撃のニュースが伝わりました。
ま、まじか。。。1980年代から1990年代、バックパッカーのバイブルだった。地球の歩き方を携え、アメリカを横断し、サハラを渡ったのはいつの日か。#地球の歩き方 https://t.co/DqferfwrS0
— Naoki Sugiura (@naokis) November 17, 2020
ダイヤモンド社が『地球の歩き方』事業から撤退、学研に事業譲渡するという・・・・無くなるわけではありませんが、今後の行く末が気になります。紹介いただいたのは2009-2010年版のエジプト編(出版は2008年)。私の手元にあるのは1994-1995年版のエジプト編(出版は1993年)です。
というわけで、冒頭写真のとおり、『地球の歩き方』エジプト編が2冊ならびました。
『バビロンの大富豪』
『地球の歩き方』の衝撃ニュースが出る前、元々紹介しようと思っていた本はこちらの本です。稼いだお金の10%を取っておけというもの。メソポタミア文明の中心地だったバビロンが栄えた理由だそうです。同様の本に本多静六氏の『私の財産告白』というのもあります。
コメント