本日、某朝食会にて、クモの糸の人工合成に成功したベンチャー企業スパイバー社の社長関山和秀さんのお話を聴く機会がありました。大変感銘を受けました。スパイバー社のクモの糸は、アベノミクスの第三の矢である成長戦略の「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」の12個のプログラムの1つに選ばれています。



バイオ・ミミクリー


生物の能力というのは、人間がいまだ作り出すことのできない未知の力が隠されてます。そんな生物が有する機能や構造から学び、新しく技術や素材を開発することを「バイオ・ミミクリー」と言います。バイオ・ミミクリーの取り組みで有名なのは、カワセミの嘴を模倣した新幹線の先頭車両の形です。カワセミは抵抗なく高速で口ばしから水中に飛び込むことが可能です。カワセミの形を模倣した新幹線は、高速で抵抗なくトンネルに突入することが可能になります。



バイオ・ミミクリーはほかにも、造波抵抗が魚雷の1/7しかないイルカのなめらかなボディ、蛍の冷光、エポキシ樹脂の2倍の接着力のフジツボなどがあります。クモの糸も、鋼鉄以上の強度を持っており、バイオ・ミミクリーの一種です。


強靭なクモの糸


人の髪の毛の直径が80μぐらいだそうですが、クモの糸は4μしかありません。仮に直径1mのクモの糸で500mのクモの巣を張ると、ジェット機を絡め取ることができるそうです。しかし、そんなクモの糸すら、人工で量産することは不可能でした。


関山さんによると、世界最強の剛性を持つクモの糸と鋼鉄の剛性比は、なんと340倍。最新の飛行機の素材には鋼鉄より強い炭素繊維が使われていますが、クモの糸は炭素繊維よりもはるかに強靭です。

20世紀は化石燃料の時代でしたが、21世紀は脱化石燃料を図る必要があります。クモの糸は、その最右翼の素材と言ってもいいかもしれません。クモの糸を人工で大量生産することが可能になれば、化石燃料でできている素材産業を根本からひっくり返すことができます。軽量化が進むことにより、エネルギー消費革命も同時に起きます。飛行機、自動車のボディをクモの糸で作ることができれば、桁違いに軽量化することが可能になり、燃費を一桁上げることにも繋がります。今日お話を聴く限り、遠い将来ではなく、近い将来に起きそうです。


世界人類への貢献を目指す起業家


関山さんは言います。石油素材の20%をリプレイスすると。彼の口からは、「日本のため」という言葉は出ず、何度も何度も「人類のため」という言葉が出ました。


かつて日本には、出光興産の出光佐三、ソニーの井深大や盛田昭夫、ホンダの本田宗一郎、京セラの稲盛和夫など、最初から世界を目指した起業家がいました。日本企業の国際競争力が低下したと言われて久しいですが、それは世界を目指す起業家が減ってしまったことも一因ではないでしょうか?最初から世界人類への貢献を口にして憚らない31歳の関山さんに、最初から世界を目指した起業家たちの影が重なりました。


リベラルアーツ教育


彼のような志の高い人物はどのように生まれたのでしょうか?一つは、慶應義塾中学・高校のリベラルアーツ教育にあるのではないかと思いました。


クモの糸の人工合成には、話を聴いただけでも、情報工学、遺伝子工学、培養法、紡織技術など、必要な技術が多岐にわたっています。それぞれの専門家10人を集めても、それぞれの専門分野を理解した上で全体を構想しデザインできる人間がいないと、うまくいきません。話を聴く限り、一つ一つの領域を仲間たちとともに、自ら突破している様子が伺えます。それも、ものすごく楽しそうに取り組んでいます。


この全体を構想する能力は、専門教育ではなく、リベラルアーツ教育によって養われたのではないだろうか?と、昨今、私学中高や都立一貫校のリベラルアーツ教育の取り組みを聞くにつけ、そのように思う次第です。そして、日本のトップクラスの私学中高というのは、世界的に見ても、トップクラスのレベルにあるのではないか?と思います。



関連書籍


バイオ・ミミクリーに関する新書で、とても分かりやすいです。


<目次>

  • 第一章 乗り物に生かす
  • 第二章 軍事に生かす
  • 第三章 暮らしに生かす
  • 第四章 建築に生かす
  • 第五章 医療に生かす
  • 第六章 エコに生かす


登場する生物たち

  • 第一章:カワセミ、フクロウ、アホウドリ、フンコロガシ、ロブスター、かさぶた、カメレオン、イルカ
  • 第二章:ハエ、ガラガラヘビ、クラゲ、クモ
  • 第三章:コウモリ、ヤモリ、猫、ホタル、蛾、カエル、ゴミムシダマシ、カジキ、タマムシ
  • 第四章:シロアリ、カタツムリ、オウムガイ
  • 第五章:トンボ、蚊、サンドキャッスル・ワーム、フジツボ、ノミ
  • 第六章:クジラ、ハチ、アワフキムシ



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