木曽野さんの2014年ランキングより、本書を見つけました。
子どもの自我が形成されるのは9歳から10歳と言われます。子どもにとって「わかる」ということは、心の一歩大きな成長です。本書は14の物語のなぞなぞから構成されますが、子どもの心の発達を支援するには、こうした絵本が有益です。
たとえば「魚つり」では、お父さん2人と息子2人が釣りに出かけ、全員1匹ずつ釣れたのですが、合計3匹でした。これはどういうことなのでしょうか?ということを問います。
また、ほかに、「天国とじごく」では、こんな話があります。天国の人も地獄の人も料理ののったテーブルを囲んでいるのですが、箸が1メートルもあります。短く持つことはできません。地獄の人は食べられないのに、天国の人は食べられます。これはどういうことなのでしょうか?
物語の構成
ちょっとカテゴリーを変えてみました。
小学校低学年の子どもと一緒に謎解きしたいのは
・魚つり
・カラスと水がめ
・ほんものの花は?
・天国とじごく
ちょっと難しい
・川をわたる
推定有罪系
・2人のおかあさん
・魔法の棒
・石がどろぼう
・そのひとことが・・・
基本的に、現代の刑法では疑わしきは罰せず=推定無罪です。推定有罪とするのは、なぞなぞとしては面白いのですが、現代の倫理的にはちょっと問題がありそうです。
その他
・かしこいおよめさん
・そっくりなバラの木
・末むすこの買ったものは?
・畑をたがやす方法
・遺言どおりに
「分かる」ということ~発達心理学の観点
本書では、「わかる」というのは「他人の視点」を獲得することだと言っています。たとえば、友達を叩いたら「痛い」というのは、友達の視点にならないと分からないことです。相手の視点にならなければ、相手の気持ちはわかりません。幼稚園児や小学校低学年では、自我が十分形成されていないため、自分と他人の視点の区別がつきません。それが9歳から10歳ぐらいには区別がつくようになります。
そうすると、冒頭の「魚つり」も「天国とじごく」も、ちょっと客観的な視点に立てばものすごく簡単なことなのですが、客観と主観の区別がつかないと、解くことができません。
子どもの心の発達を支援するには、こうした絵本が有益です。
<目次>
第1章 9歳、10歳はなぜ取り上げられるのか?
第2章 9歳、10歳ってどんな年齢?
第3章 「自分」って何?-自己意識の変化
第4章 「考える力」の急成長ー認知の変化
第5章 「複雑な気持ち」を知るー感情の変化
第6章 親より「友情」へー友達関係の変化
第7章 「他人の視点」の獲得ー道徳性の変化
第8章 9歳、10歳の子どもとは?-まとめ
第9章 9歳、10歳の「社会性」を育てる支援
第10章 9歳、10歳の「道徳性」を育てるアプローチ
おわりに
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