Sushi counter at Hyatt Regency Hakone

鮨カウンターを舞台に物語は始まる。


握る男 (角川文庫)
原 宏一
KADOKAWA/角川書店 ( 2015-03-25 )
ISBN: 9784041023105


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本書と出会ったのは、8月7日の朝活読書サロン。若い女性の「キ〇〇〇」という言葉に悶絶したことがきっかけでした。


16歳で鮨店に弟子入りした徳武光一郎、通称ゲソ。鮨店を皮きりに日本の食流通を押え天下取りを狙う成上りと転落の27年の人生を、6歳年上で兄弟子であり番頭役となった金森信次の目線から描く。


ゲソのニックネームは、小柄で人なつっこくヘラエラ笑う態度がイカのゲソに似ていることから先輩たちに命名された。舞台は昭和56年(1981年)の両国。4年後に両国国技館を控え、さらにその数年後、日本にはバブル経済が訪れる。


目ざわりな先輩を排除し、親方の姪の多可子と結婚、店の不祥事を機会に親方に代表取締役を引責辞任してもらい、代わりに取締役に就任。新店舗をちょっと背伸びをして入りたい予約の取れない鮨店として成功させ、チェーン展開を開始、漁協を介さない魚介類の直取引を始め、鮨以外の外食チェーンを買収・乗っ取りで配下に治め、やがて日本の食の流通の8割を押える。目的のためなら手段を選ばないゲソ。流通を1日ストップさせるなど、暴走極まりなくなったところで、金森と多可子がストップをかけ、金森は罠をはめられ牢獄へ、そしてゲソは自殺を図った。ことの真相は・・・?


ゲソの手口は、第一に目的のためなら手段を選ばないこと。第二に使える人物を見極め弱みを握ること。使える人物とは10人を動かせる人物のこと。10人動かせる人物を連鎖的に弱みを握っていけば、やがて100人、1000人、10000人を「握る」ことができる。そして第三に・・・いやこれが第一なのかもしれないが、鮨職人の腕前としては一人前、つまり人並み以上に努力して腕を磨いたこと。第四に一流のネタは3割で残りのネタは80点、打率3割でも客をリピートさせるマーケティングセンス。


本書のタイトルにある「握る」は二重の意味を持たせている。一つはもちろん「鮨」だが、もう一つは「キンタマ」。つまり、いかに人の弱みを握るかということである。何度も繰り返して「キンタマを握る」という表現が出てくる。年長の金森の支配も、金森のミスの隠蔽を助けたことがきっかけ。特大キンタマは関脇・龍大海。関脇と懇意になりながら彼の弱みを握り続け、大関、横綱と昇進していく過程でも龍大海を小出しに利用していく。著名人である関取が足しげく通う鮨店として予約の取れない鮨店として「演出」し、優勝祝賀会の宴席の仕切りももちろん任される(もちろんそのように仕向けて)。新店舗を開店させれば時には大関が駆け付け、取材されて大きく取り上げる。その裏では記者に大関との独占インタビューを約束していたのだ。


築地の仲買、新聞記者、銀行マン、漁師、大卒社員、当時は珍しい大卒女子、様々な人物が入れ代わり立ち代わり登場しては彼らの弱みを握り、生かさず殺さず巧みに利用していく。


もちろん小説の中のことなので、スピーディーに登りつめていくのだけれども、現実的なビジネスシーンでも、相手の本心を読み、相手がどうしたら動いてくれるかのを見極める術を、本書から学べると思う。


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