<目次>

はじめに

世界のデフォルト(債務不履行)経験国

第1章 国家財政破綻、人はどう生き延びたのか?

 1 ソヴィエト連邦崩壊

 2 アジア通貨危機と韓国

 3 アルゼンチン

第2章 ユーロ圏危機に学ぶ「生き延びるヒント」

 1 スペイン危機

 2 ギリシャ危機

 3 キプロスの国家財政破綻

第3章 デトロイトに見る、アメリカの未来

 デトロイト、2013年

おわりに



高城剛さんという男が二重の意味でうらやましいです。日本を代表する悪女として私が勝手にお慕い申し上げる沢尻エリカさんと結婚していたこと。



そして、こちらが本題なのですが、もう一つは、本書に書かれているように、世界を旅し独自の世界観をお持ちであることです。


実は、高城さんのこと、その世界観のみならず、何をされている方なのか、よく存じ上げませんでした。一時期、「ハイパーメディアクリエイター」と名乗られていたこともあり、クリエイティブ系の方なのだろうとは理解していたのですが。そんな方が経済書を書かれているということで、しかも『世界はすでに破綻しているのか?』という、かなり挑戦的なタイトルに興味をそそられ、読んでみた次第です。



真のノマド・ワーカー


本書を通じて高城さんのことを一言で評せば、「破綻国マニア」あるいは「世界一の野次馬」です。もっといい表現があるかもしれませんが、とりあえずそうお呼びしておきます。


おそらく、高城さんほど、わざわざ破綻した国々に出向き、そこで生きている人をこれほどまでに描き出した方は、ほかにいないのではないでしょうか?ソ連&ロシア、タイ、韓国、アルゼンチン、スペイン、ギリシャ、キプロス、そしてアメリカ・デトロイト。高城さんの好奇心と行動力は、現在更新されているブログ記事からも明らかです。どうやら、先々週から先週にかけて、タイからマレーシアあたりをうろうろしていたようです。真のノマド・ワーカーというのは、高城さんのような方を指すのだろうと思います。



備えあれば憂いなし、と言いたいところだが・・・・


日本の財政赤字は、もはやポイント・オブ・ノー・リターンを過ぎたと私は思います。今後起こりうる日本での財政危機に備えるために、本書はおすすめです。


本書によると、これまで財政破綻した国々では、Xデーは突然来たようです。突然、銀行預金が封鎖され、デノミが実行され、金融資産は一気に半分、場合によっては10分の1に減損します。事前に察知したごく少数の人は、資産を海外に逃避させ、難を逃れます。そして、預金封鎖後、売買は現金のみが許されます。スペインやアルゼンチンでは、職業を失った若者たちは、郊外の農地で自給自足生活をはじめます。


もし日本に財政危機が訪れたら一番の問題は食糧だろうと私が思うのは、このことです。金額ベースで食糧自給率60%の日本に、もはや1億2千万人を養う農地は日本にはありません。スペイン人やアルゼンチン人のように、田舎に引っ込んで、農業で自給自足というわけにはいきません。


奇しくも、本書を読み終えた昨日、格付け会社であるムーディーズが、日本国債の格付けを引き下げました。



もっとも、サブプライムローンに対しトリプルAを与えていたのがムーディーズですので、ムーディーズという会社自体を私は信用しておりませんが、ヘッジファンドが日本国債の空売りをしかける口実を与えるでしょう。その様相は、リーマンショックの舞台裏を描いたマイケル・ルイスのノンフィクション『世紀の空売り』でよく著されています。


世紀の空売り
マイケル・ルイス
文藝春秋 ( 2010-09-14 )
ISBN: 9784163730905


さて、「備えあれば憂いなし」と言いたいところですが、そうもいかなそうです。金融資産防衛という点では、海外株式や海外債券を多めに組み込んでおくことはできそうです。食糧防衛という点では、農地を押えたいところですが、東京にいては無理です。仕事も家族も東京中心となってしまっていますので、東京を捨てて地方に行くという選択肢はありません。疎開可能なように、田舎とのネットワークを作っておくというのは一つの解かもしれません。


自らの打ち手は限られますので、これ以上心配しても仕方ないと、ある意味割り切っています。


本書を読んでみて、高城さんという方に、非常に興味をそそられました。別の著書も読んでみるつもりです。



2001年のアルゼンチンの経済破綻

アルゼンチン経済破綻

出典:Corralito - Wikipedia lic:CC BY-SA 3.0



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