『自己組織化とは何か 第2版』についての三本目の記事です。味覚・嗅覚と人工生命について。味覚と嗅覚の自己組織化のメカニズムが解明されることにより、味覚センサー・嗅覚センサーが開発され、味と匂いの再現が容易になってきました。


<目次>

まえがき

第1章 自己組織化とはなんだろうか

第2章 自己組織化のしくみ

第3章 粘菌は自己組織化する

第4章 脳がつくるリズムとパターン

第5章 生命と人口生命の進化

第6章 生体パーツの自己組織化を操る

第7章 味覚を再現する

第8章 嗅覚を再現する

第9章 生体パーツを取り込むデバイス技術


味覚に関する自己組織化の解明

アイスクリームを舐める

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人間、もとい、動物には五感があります。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚。


視覚、聴覚、触覚が物理現象であるのに対し、味覚と嗅覚は化学現象とのこと。そういう視点で考えたことがなかったのですが、たしかにそうですね。そして、化学現象であるということは、味や匂いを理解するということ自体、自己組織化なのだとか。


味覚は7種類あると言われているとのことです。以下のまとめ方がわかりやすかったです。


 味    意味するもの、特徴
 甘味  エネルギー源
 塩味  体液バランスに必要なミネラルの供給 
 酸味  新陳代謝の促進、腐敗のシグナル 
 苦味  毒性の警告 
 うまみ  生物に不可欠なアミノ酸、ヌクレチオド類(核酸のもと)の供給 
 辛味  温熱、痛みレセプターを介する 
 渋味  粘膜表面のたんぱく質や苦味レセプターを介する 


この中で、辛味と渋味は触覚であり、味覚ではないとのことです。


さて、この味覚に関する自己組織化のメカニズムが解明されることにより(いわば味覚のスペクトル分解)、味覚センサー、味認識装置の開発が可能となり、人工味の合成が容易になったとのこと。ヒトの舌で確かめるまでもなく、機械で検知できます。「秘伝の味」や「おふくろの味」も解明できてしまいそうです。


嗅覚に関する自己組織化の解明

匂いを嗅ぐ

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嗅覚は味覚と比べややこしそうです。ヒトには味覚を感じる「味蕾」は5000~9000個あるそうですが、嗅細胞は500万個あるとのことです。ところが、イヌには2億個もある!


ヒトは、二足歩行により、同じ体重のほかの動物よりも視点が高い位置にあり、視点が進化しました。一方、嗅覚は衰え、ヒトのDNAに含まれる嗅覚に関する遺伝子のうちの約半数は使われていないとのことです。


ヒトは嗅覚が退化しているといわれるが、におい受容体を記述する遺伝子の51%が偽遺伝子化しており、これは三原色の獲得の後に起こっている。三原色を獲得していない原猿のキツネザルの嗅覚遺伝子の偽遺伝子化は18%だし、優れた嗅覚を持つイヌも二原色の世界に行き、偽遺伝子化は17%にとどまる。進化と退化はうらおもての関係にあるのだ。


なるほど、イヌやほかの動物がかぎ付けることのできる匂いに、ヒトはかぎわけることができません。


それでも、ヒトには、約350種類の嗅覚レセプターが存在するとのこと。つまり、350種類の匂いをかぎわけられるらしいです。ただ、ひとつの匂いに対して複数のレセプターで検知しているとのことで、場合の数を考えると、膨大な匂いの種類があります。


匂い検知のメカニズムの解明と、匂いセンサーの開発のほうは、いまいち飲み込みきれなかったが、匂いセンサーの開発・普及は、食品や香水だけでなく、大気汚染や排気ガスなどの対策にも使えるとのことで、社会的ニーズが高そうです。


人工生命についても書こうと思ったのですが、長くなりそうなので、次の機会に。


それではまた。


【書評】『自己組織化とは何か 第2版』


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