東京都知事選で原発が争点になってしまいましたので、自分なりに次世代のエネルギーの論点を整理しておこうと思います。


  1. 地球温暖化
  2. 安全性
  3. コスト(エネルギー生産性)
  4. 経常収支


震災前、原発は地球温暖化対策の切り札だと思われていました。しかし震災後、安全性に疑問がついてしまったわけです。しかしその代替は、現在は化石燃料(主に天然ガスと石炭)でしかありません。太陽光発電や風力発電等、CO2を出さないと言われている自然再生エネルギーはわずか1%でしかなく、コストが見合わないこともあり普及が進まず、依然、震災前は30%の電力を賄っていた原発の代替にはなりえません。


四点目の経常収支は、ほとんど触れられることがないので、ここで触れておきます。


経常収支


経常収支は、日本国の海外とのキャッシュフローの正負を表したものになります。毎月、財務省と日銀が2ヶ月前の速報値を公表しています。2014年1月時点では、2013年11月の経常収支が分かります。発表データを元にグラフを作成しましたので、ご参照ください。プロットしている範囲は2010年1月から2013年11月です。



よく、「貿易赤字で大変だ」と報道されます。しかしそのような報道は無視してください。肝心なのは、貿易収支ではなく経常収支のほうです。貿易収支が赤字でも、所得収支(日本企業が海外で稼いだお金)と合わせた経常収支が黒字である限り、日本国のキャッシュフローはプラスになります。※


グラフを見ていただければ分かりますが、所得収支がほぼ横ばいなのに対し、貿易収支が減少傾向となり、貿易収支の減少に合わせて経常収支も減少していることが分かります。


また、年末年始の休暇が諸外国より長い日本では、どうしても1月の収支が悪化する傾向にあります。消費量が変わらないのに生産量が落ちるからです。震災後の経常収支が赤字月の数を見ていきますと、次のようになります。


  • 10年度:ナシ(12ヶ月間黒字達成)
  • 11年度:12年1月の1ヶ月のみ
  • 12年度:12年11月~13年1月の3ヶ月
  • 13年度:13年10月~14年?月の〇ヶ月


今のところ月次ベースで赤字月が拡大していますが、12年度までは年間では赤字にはなっていません。しかし、この後、このまま行くとどうなるのでしょうか?


※ほかにサービス収支や経常移転収支がありますが、説明を分かりやすくするため、省略します。


次世代エネルギーの論点としての経常収支


経常収支の赤字の何が問題かは機会をあらためて述べたいと思いますが、端的に申せば、外貨準備高が減少します。そのまま赤字が続くと、資源を持たない日本にとっては、資源を買うことができなくなるという大変な危機的な状況に追い込まれる可能性があります。


水と安全はタダの日本人にとっては、食糧難となって飢えることは考えられませんが、しかし戦中生まれの私の父母は、戦争末期が終戦期にかけて、飢えを体験しています。敗戦は国家債務超過であり、経常収支が大赤字となりました。さらにその一昔前の日露戦争では、海外で日本国債を起債したため、戦争後、債務超過とはいかないまでも日本国民はその償還に大変苦しめられました。


そして現在の経常収支の悪化の最大要因は原発停止に伴う化石燃料の輸入が原因です。


地球温暖化防止には、火力よりも原子力や自然再生エネルギーが適しています。安全性では、放射性廃棄物の管理ということも考えれば、原子力はやっかいです。コストは、原子力の補償問題を含めると火力に分がありそうです。では、経常収支は・・・?


細川&小泉両氏の妄言


小泉氏が東京都知事選を「原発ゼロでも日本は発展できるというグループと、原発なくして日本は発展できないというグループとの争い」とシングルイシュー化しようと試みています。


しかし、妄言やおやめになってください、と言わざるをえません。東京都は、エネルギーを地方に頼っている存在です。東京都自らがエネルギー問題について采配できることはほとんどありません。


以下のブログ記事で、細川氏の政策ついて、非常に要点がうまくまとめられていますので、ご参照ください。



論点を整理すると、以下の三点です。


  • 原発ゼロの道筋は不明
  • ゆがんだ情報を信じる細川氏
  • 都知事が原発でできることはあまりない


殿、いかがいたしますか?


私はこの本を読んでいませんが、上のブログ記事はこの本を参照しているとのことです。池上彰氏もまた、殿の妄言を危惧しているようです。



経常収支と為替の関係を専門家以外の方にも非常に分かりやすく解説しています。著者の佐々木氏は、日本銀行出身で、現在JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長の方です。日々、為替のディーリングを担っている方です。



日露戦争のための海外での国債起債にまつわるノンフィクションです。国債起債が日本に勝利をもたらし、かつ戦争後、国債償還のための大変な大増税を招いたことを示してあります。その結果起きたのが、日比谷焼打事件です。国民が怒ったのは、ロシアから賠償金を取れなかったことだけでなく、その結果、大増税を強いられたことに怒ったのです。


外貨準備高マイナス(日本国全体としての債務超過)が招く結末を見事に表しています。



【書評】『里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く』


エネルギーは日本国の経常収支のみならず、地方自治体の収支の最大赤字要因です。そのことは本書で知りました。東京が富み地方が貧しい最大の理由がエネルギーの輸入です。


よって、答えは自明です。日本国も地方自治体も、経常収支の悪化を防ぐには、エネルギー輸入量の削減が必要となります。すなわち化石燃料の輸入削減が必要です。


このことを踏まえ、次世代エネルギーのポートフォリオを論じなければなりません。


細川護煕さん、いかがいたしますか?



東京殿様


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