『とはずがたり』表紙

<目次>
  • 其の一 大いなる転機
  • 其の二 愚かなりし我が心
  • 其の三 愛と死
  • 其の四 夢の彼方
  • 其の五 我が名は女
  • 登場人物関係略図
  • あとがき
  • 参考文献


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『京都ぎらい 官能篇』で知った鎌倉時代の後深草上皇の女御・二条。彼女の日記が『とはずがたり』です。1940年になるまでその存在が知られず、宮内庁に写本が眠っていたとのこと。


彼女は恋多き、というよりも、性に奔放、というか、言い寄られた男達に、あ~れ~とことごとく体を許してしまいます。14~15歳で御所様と初夜を過ごし、15~16歳で最初の子を産み、次に実兼の子を産み、阿闍梨にも言い寄られて体を許し、近衛の大殿にも言い寄られ、阿闍梨の子を産み、阿闍梨が死に、また阿闍梨の子を身ごもり、亀山院にも言い寄られる・・・・結果、5人の男に抱かれ、3人の男との間に4人の子を産みます。


二条が身体を許す殿上人たち
  • 御所様(後深草上皇)
  • 雪の曙/実兼(西園寺実兼)
  • 有明の月/阿闍梨(性助入道親王)
  • 近衛の大殿(鷹司兼平)
  • 亀山院(亀山上皇)
    ()内は本名


そもそも御所様が幼少のころ、性の手ほどきをしたのは、二条の実母であり御所様の乳母を務めた大納言典侍。彼女への恋心から彼女の娘である二条を幼少のみぎりより手懐け、囲ってしまうところから物語がはじまります。このあたりは、『源氏物語』での光源氏の藤壺への想い、藤壺の姪で藤壺に似ている紫の上を囲うところと状況が似ています。


S男とM女

御所様は二条にひどく酔心するものの、大の女たらしでもあり、他の女の手引きをも二条に依頼する始末・・・。また一方で、御所様は、二条が他の男に言い寄られ、ひそかに逢瀬を営んでいることにも気づくだけでなく、途中からは積極的に間男との逢瀬を後押しします。彼等(御所様、二条、間男たち)は狭い御所の人間関係の中で、しょっちゅう顔を合わせる間柄。二人、三人の男との鉢合わせに二条が苦しんでいるところを御所様は楽しんでいるようでもあります。


間男2人(実兼・亀山院)と御所様に挟まれ困惑する二条
『とはずがたり』 実兼・亀山院・後深草院


その後、32歳で出家し、最終章では45歳になる二条。実兼と再会するも、実兼はすでに二条のことを忘れてしまったのかよう。そこへ追い討ちをかけるように御所様崩御の報せが。御所様への愛の言葉で最後をしめくくります。


ただひとつ言えることは、後深草院二条、我が名は女
私は御所様と添い遂げたかった
納得ゆくまで愛したかった・・・

いがらしゆみこさん


さて、本書を読み終わった後、作画のいがらしゆみこさん。なんとなく聞き覚えのある名前のだけど、確認すると『キャンディ・キャンディ』の作画の方!テレビアニメの放送が1976年、原作漫画は1975年。現在も現役でいらっしゃるのですが、かなり若くして成功されていたんですね。



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