<目次>
- はじめに
- 第1章 ごみ出し問題には町内会の抱える問題が集約されている。
- 第2章 「担い手がいない」という悩みへの「解決策」の罠
- 第3章 その事業は本当に必要か
- 第4章 町内会はどこまでリストラできるか
- 第5章 今すぐできるリストラ策「おまとめ事業」と手続きの簡素化
- 第6章 行政、連合体、町内会、住民への提言
- おわりに
夏季巡回ラジオ体操や盆踊りなどでお世話になっている町内会ですが、一方で貢献できているかというと、何も貢献できていません。その課題意識はずっと持っていました。
- 夏季巡回ラジオ体操(7月21日~7月31日) : なおきのブログ
- 盆踊りに参加したけど、綿菓子で失敗した。(8月5日) : なおきのブログ
- 町内会の総会に参加してみた(5月17日) : なおきのブログ
- 【書評】『40代を後悔しない50のリスト』 : なおきのブログ・・町内会参加への課題意識を持った本
そう思っていましたら、この4月から回覧板の担当が回ってきました。
町内会は、EGMフォーラムでも話題になったことはあります。またPTAと同様本来任意加入であり、そもそもの機能や課題についても漠然とは知っているつもりでも、言語化できるほどの理解をしているわけではありません。ということで本書を読んだ次第。
町内会とは、任意の団体であり、行政の下部組織ではありませんし、加入するか否かは自由、よって強制入会させることはできないことになっているのですが、なかば反強制がまかり通っている町内会もあるようです。私が参加している町内会は、隣2件が参加しておらず(回覧板の宛先に名前がない)、それほどの強制力はありませんが。
町内会の役割といえば、防災・防犯・高齢者の見守りや、行政広報物の配布(いわゆる回覧板)、私の地域でいえば盆踊りやラジオ体操などです。それ以外にも、民生委員の推薦や、連合会への参加も委ねられているようです。
一方課題は、ボランティアであるのにも関わらず、役員を引き受けようものなら大変な負担がかかり、成り手がいないということ。引き受けたことがないのでもちろん実感はありませんが、今年8年目となるPTAでも同じ状況が起こり得るので、負担と成り手不在、会員減少という課題は理解できます。そもそも、町内会の仕事が大変になった背景は、行政のリストラが原因とのこと。知らなかった。。。
新自由主義による行政リストラの風潮は、「絆」「共助」「地域での支え合い」などという言葉とともに、地域で活動をしている人たちにも浸透するようになります。 (P67)
そして、本書の提言は、タイトルにある通り、町内会を思い切ってリストラすることです。著者の紙屋さんは、町内会長を引き受けた際、連合会からのさまざまな要求に対し、拒否し、一旦町内会を潰し、必要最小限の機能を持った町内会を独自に立ち上げ直した人です。
会費なし・義務なし・手当なし -完全無償のボランティアとして、最小限夏祭りと餅つきくらいはやりましょうという「ミニマム(最小限)町内会」を立ち上げたのです。 (P144)
町内会に残る最小限の機能は「コミュニティ意識の育成」 (P152)
「絆」「共助」「地域での支え合い」などをタテマエにとり、行政が果たすべき役割を町内会に押しつけていることを問題提起しています。たとえば防災について、震災や洪水被害などは地域で助け合うべきではないかと言われます。しかし、町内会が機能するというよりも、向こう隣三軒の声掛けや「近助」こそが大切で、必ずしも町内会が防災を担っているわけではない、そんな町内会の防災機能は不要、と喝破します。同様に、必要とされている他の町内会の機能もどんどんリストラできると言います。
行政に対して異議申し立てをする手続きである「請願手続き」についても言及しています。文書で「請願」をすること、公務員は必ずしも「請願法」を正しく理解していない場合がありますが(請願先は政治家であり行政機関ではないという勘違い)、「請願法」では行政機関も請願先と定めています。
行政が仕事を押しつけて来た時には拒否を、すでに引き受けてしまった業務も請願により行政に返上することができます。
町内会の運営が大変だなぁ、と思われている方、本書を一読あれ。
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