シミルボンでコラム大賞の企画が催されています。第1回は牧眞司氏を選考者に迎えた定番SF本が課題図書。第2回は、金原瑞人氏を選考者に迎えた江國香織氏の小説。大賞になる賞金5万円、佳作でも賞金1万円いただけます。


書評ブロガーとして、腕がなるぜー!と思いましたが・・・・実は第1回はそのつもりで本を読み終えていたのですが、思ったより感動を覚えず、書評が書けませんでした。


そして、2回目となる今回、再チャレンジしたのですが・・・うーむ、賞金圏内に入れるような書評を書ける気がしません。人を唸らせるほどの書評が書ける時って、その前に自分が唸らされているのです。結果的に、応募は諦め、応募は別の本で再チャレンジするとして、読み終えた『つめたいよるに』は、当ブログにて書評を残しておきます。読書日記人気ランキング


<目次>
  • つねたいよるに
    • デューク
    • 夏の少し前
    • 僕はジャングルに済みたい
    • 桃子
    • 草之丞の話
    • 鬼ばばあ
    • 夜の子どもたち
    • いつか、ずっと昔
    • スイート・ラバーズ
  • 温かなお皿
    • 朱塗りの三段重
    • ラプンツェルたち
    • 子供たちの晩餐
    • 晴れた空の下で
    • さくらんぼパイ
    • 藤島さんの来る日
    • 緑色のギンガムクロス
    • 南ヶ原団地A号棟
    • ねぎを刻む
    • コスモスの咲く庭
    • 冬の日、防衛庁にて
    • とくべつな早朝
  • 解説 川本三郎


本書はご覧の通り21編の短編集です。1編当り、短いものだと6ページ程度。長文の小説を読みこなす力がなかった20代は、好んで短編集を読んだものでした。


江國さんの本を読むのは今回が初めてです。21編の短編を一気に読破しました。心に残るものもあれば、心に残らないものもあります。心に残るものは、前半の『つめたいよるに』に多かった印象。特に、『夏の少し前』と『いつか、ずっと昔』、この二つは現実的には起こりえない時間や生命の跳躍が起きる夢想的なフィクションです。


『夏の少し前』

『夏の少し前』では、中学生の私、洋子が、突然大人になってちょっと憧れていた男の子と結婚していて小さな娘と手をつなぎ、それもつかの間娘は大きくなり自転車ですれ違い、手をつないでいたはずの子は男の子にスリ代わり、それもつかの間男の子は自分より大きく成長して、さらには孫も登場・・・おばあちゃんとなった自分は「こんな光景にあこがれていた」と旦那につぶやいたの束の間、元の中学生に戻る。この出来事が走馬燈のように9ページ内に収まっています。


『いつか、ずっと昔』

『いつか、ずっと昔』では、若い恋人同士のれいこと浩一が夜道を歩いて、れいこがうっとりすると、へびに変身していて、もう一匹のへびの旦那が「俺はおまえをさがしまわった」と言い、それに対してへびのれいこが「ごめんなさい」「私、人間になっていましたの」と人間に変身していたことを告白、と思ったら、今度は豚に変身し、豚の旦那と同じやり取り、さらに次は貝になり、やはり貝の旦那と・・・そして人間に戻り、浩一と夜桜を見上げる。この出来事がやはり10ページに収まっています。


このような、現実的に起こりえない時間や生命を跳躍した江國さんの長編小説があれば、それを読んでみたいものです。


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