<目次>
- #260 光
- #261 待ってろよシャロン
- #262 裏側
- #263 想定外
- #264 穴
- #265 消失と発見
- #266 地中の宇宙
- #267 気付いた一日
- #268 雨の音
26巻ではムッタらCES-66クルーが月面着陸し、27巻ではISSでせりかがALSワクチン開発につなげるTDP-43の結晶化に成功。28巻では再び舞台を月面に戻し、CES-66クルーがシャロン月面天文台の建設にかかる。建設場所は月の裏側で、資材である12本のパラソル・アンテナを人工衛星から月に落とす。観測した限り無事に着地したのは4本。CES-66クルーは残り8本の所在を目視確認しに月の裏へ行く。裏側ではヒビトを救ったBRIAN-3号は発見。この後の前哨になる。
1本は回収、5本は無事設置完了。しかし残り2本があるべきところに見つからない。崖を下ると横穴を発見。ロボットのブギーを穴の中に送るが音信が途絶える。カルロとムッタも横穴へ。やはり音信が途絶えるが、やがてレゴリスがきらきらと落下している場所を発見。その近くに停止したブギーとアンテナ1本を発見し、帰還。
一方せりかは時の人となりインタビューで何を食べたいかときかれ「たぶさんのハートコロッケ」と答える。そしてムッタが戦闘機で描いた「バルタン星人」がせりかに送られた「ハートマーク」だったことに気づく。そして月面では、ムッタもそこにヒビトがいたことに気づく。
閉鎖された月面基地内にはVR施設があり、ムッタは雨の音を楽しむ。屋外ではフィリップが最後のアンテナを発見。そしてムッタは横穴に水があるかもしれないと気づく。
<目次>
- #269 大波
- #270 贈り物
- #271 このために来た
- #272 希望の轍
- #273 俺のせいだ
- #274 リッテンティンガー峡谷
- #275 選ばれし宇宙飛行士
- #276 お前に見せてやりたいぜ
- #277 エディを信じて
地球側でもキラキラ光るレゴリスに水が含まれる可能性を見出す。しかし一方で太陽の黒点観測から、大規模なフレアが発生する可能性が出てきた。一方月面ではシャロン天文台の核となるコンピュータが無事届き、そこにはシャロンからムッタへスニーカーの贈り物も一緒に届いた。基地に戻り、せりかと通信。「ムッタさん」と名前で呼ばれて良い気持ちに浸ったところで通信が途絶える。フレアが発生したのだ。
電波障害後、12時間後に太陽から強いプラズマと放射線が届く。基地に待機せねばならないが、コンピュータが外に放置されたままだ。太陽風を浴びれば磁気嵐によるコンピュータが台無しになる。急ぎ回収せねばならない。地球との通信が途絶える中、エディとムッタはバギーに乗ってコンピュータを取りに行く。
お互い宇宙飛行士の弟を持つエディとムッタ。無事コンピュータを回収し帰路に就くが、基地までのバッテリーが足りない。また、電磁障害の影響でナビと位置情報も途絶えた。エディは充電スタンドへの立ち寄りを提案。ブライアンが残した轍を辿れば基地に戻れるだろうと。
充電スタンドを見つけ、バギーをフル充電。しかし過電流で電子回路が焼けてしまった。エディとムッタはリッテンティンガー渓谷に向かう。そこにはヒビトが乗り捨てたバギーが残されている。ムッタは渓谷を降り、バッテリーを回収。エディがムッタを引き上げようとするが、尖った石に手をつき、服に穴が空いてしまい気圧低下。エディは気を失う!絶体絶命のエディとムッタ!
つづく。
考察
さて、科学考証がよくできていると言われる『宇宙兄弟』ですが、分からない点が二つあったので、念のため調べました。
1.太陽フレアと電波障害・放射線・プラズマの到着タイミング
電磁波は光速です。太陽から発せられた電磁波が地球に届くのは8分19秒後。月の公転半径は38.5万キロなので、月への到着もほぼ誤差範囲です。次にやってくるのは放射線ですが、粒子の移動を伴うためこれより遅れます。Wikipediaによると、エネルギー準位によって30分~数日とのこと。放射線に前後して到着するのが磁気嵐を生むプラズマで、最速で14時間後、平均2日後としています。
『宇宙兄弟』では、まず電磁波の到着で通信が途絶え、放射線到着をエディは12時間後としています。磁気嵐到着をブギーは2~3日後としています。
観測史上最大の太陽嵐は1859年だったとのことで、ハワイでオーロラが観測され、既に通信網(電報網)が発達していた欧米では、通信網が停止したとのこと。さらに電化が進んでいる現代で1859年並みの太陽嵐が起きると、電力系統も停止するのではないかとのことです。ひょえー!
2.月の裏側は本当に真っ暗なのか?
『宇宙兄弟』では、月の裏は暗いことになっているのですが、月の裏は地球に面していないだけで、新月の時には月の裏は太陽光で照らされるのでは?空気のない月面では太陽光に照らされても空が明るくなることはありませんが、月面は照らされているはずです。ムッタたちが月の裏側に出向いたのは、裏側が太陽に背を向けている満月時だったということでしょうか?
ちょっと調べてみた限りでは、太陽に照らされても月の裏は暗いのかどうかがよく分かりませんでした。理科教育では、分からないものを分かったふりをして誤魔化さないことが重要だと思いますので、月の裏側は真っ暗なのか?という命題は保留にしておきます。
- 月の裏 - Wikipedia
- 宇宙・天文まめ知識 なぜ月は満ち欠けするのか?(国立教育政策研究所)
- 月の裏側は「ダークサイド」とは限らない | WIRED.jp・・・地球の公転・月の公転・自転軸の傾き・ぐらつきによって、月の南極・北極が何日も暗闇に閉ざされるのは想像できるが、絶対的な暗闇の存在の証明にはなっていない。
- 理科を学ぶ意味 : なおきのブログ
『宇宙兄弟』シリーズ
- 【書評】『宇宙兄弟(1)』 : なおきのブログ
- 【書評】『宇宙兄弟(2)』 : なおきのブログ
- 【書評】『宇宙兄弟(3)』 : なおきのブログ
- 【書評】『宇宙兄弟(4)』 : なおきのブログ
- 【書評】『宇宙兄弟(5)』 : なおきのブログ
- 【書評】『宇宙兄弟(6)』 : なおきのブログ
- 【書評】『宇宙兄弟(7)』 : なおきのブログ
- 【書評】『宇宙兄弟(8)』 : なおきのブログ
- 【書評】『宇宙兄弟(9)』 : なおきのブログ
- 【書評】『宇宙兄弟(10)』 : なおきのブログ
- 【書評】『宇宙兄弟(11)』 : なおきのブログ
- 【書評】『宇宙兄弟(22)』『宇宙兄弟(23)』 : なおきのブログ
- 【書評】『宇宙兄弟(24)』『宇宙兄弟(25)』 : なおきのブログ
- 【書評】『宇宙兄弟(26)』『宇宙兄弟(27)』 : なおきのブログ
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