<目次>
  • はしがき
  • 第1章 「普通の男」は父、夫になりづらい時代 
  • 第2章 日本の結婚・家族の歴史 
  • 第3章 現代における「家族のかたち」の変容 
  • 第4章 父親という存在の実像 
  • 第5章 雄のいらない動物からの示唆 
  • 第6章 男という存在の軽さ
  • 参考文献


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女性活躍社会、男女平等の育児・家事、イクメン、LIEESHIFTという世の中の流れに竿さすかもしれません。


まず、本書との出会いですが、いつものように出版社の新書サイトを巡回してのもの。読書前の選書時のコメントを再掲します。


説明書きを読むと、とかく男子の草食化が婚姻率低下及び少子化の遠因のひとつのようにも言われますが、そもそも論、戦後の経済成長期のように、総中流化社会、9割以上の人が結婚し家庭を持った社会のほうが非常時であって、そもそも、「平凡な男」は結婚しない「余剰な存在」だったという・・・たしかに、上流階級が側室やお妾さんを抱えていた時代、男女比が同じなら、同じ数の男性が余っていたはずです。そんな歴史的実証がなされていると期待します。


さて、本書は二つの視点、歴史的視点と霊長類研究の視点から、結婚・家族・子育てというものを考察しています。


歴史的視点


日本の歴史を振り返ると、近代以降、三つのターニングポイントがあったことが分かります。

  1. 戸籍法と明治民法
  2. 戦後民法
  3. 男女雇用機会均等法以降


戸籍法と明治明法

戸籍法の成立は1871年、明治民法が1896年です。それ以前は、大名・貴族や富裕階層が側室や妾をもっていた時代で、一夫多妻の時代でした。裏を返すと相当数の男が余っていたことになります。戸籍法が成立して初めて統計上家族の数をカウントできますので、離婚率も算出でき、当時の離婚率は3%を超えていたとのことです。明治明法の成立で結婚・離婚が法的に厳格化され、一夫一妻制、家父長制が成立し、女性からの離婚はできなくなりました。このことにより離婚率は1%未満に急減します。


戦後民法

戦後は一転して、法的には男女平等の社会になりましたが、経済的に夫に従属せざるをえなかった妻から離婚できる割合は少なかったため、依然離婚率は低いままです。


女性の経済的自立後

男女雇用機会均等法成立から既に30年経ち、遅々と進まない面も否めませんが、それでも女性の社会進出、経済的自立は進みました。法的にも経済的にも制約が減ったため、離婚率は急上昇し、2000年代には2%を突破します。しかし現在は、婚姻率も急降下してしまったため、離婚率も減り、現在は2%以下に落ち着いています。


霊長類研究の視点


近縁種である霊長類。チンパンジー、ボノボ、ゴリラ、オランウータン、テナガザルの五種類、ヒトを含めれば六種類です。ヒト以外の霊長類に共通なのは、授乳期間が人間よりも長く3年から5年あること。また、離乳後、ほぼ即時に自立するのも特徴です。ヒトのように、離乳後の長い育児期間はありません。子育ての大半はメスの仕事で、オスが子育てに参加することはありません。


もちろん、授乳期間中、十分なエサを採れないメスと子どものため、オスがエサを採取して家族に運ぶことはあるようです。誤解を恐れずにいえば、生物学にオスの役目は女性に精子を提供することのみとも言えると著者は述べます。


ここに人間のつらさがあります。


二つの視点からの考察

育児の負担はどうなるのか?

戦前の大家族下では、年長の女性が複数いたため、子育ては複数の女性の間で分担できました。戦後、核家族化が進んだことにより、子育ては一人の女性の肩にのしかかったことになります。多少、男性の育児参加が増えたとはいえ、現在も続いている状況にあります。


人類は、歴史的にも霊長類の視点でも見られない、男性の育児参加にチャレンジしようとしていますが、本能的に見れば「無理」を強いているのかもしれない、ということを気に留めておく必要があると感じました。


社会はどこへ向かうのか

このあと社会はどこへ向かうのでしょうか?


法的、経済的制約がない一方、子を持ちたいという本能があります。そしてその本能は、女性のほうが強い。働く女性のシングルマザーが増えていくでしょうし、法的制度が整備されれば、フランスのように未婚と結婚の中間のパートナーシップ制度で子を持つことや、女性カップルが養子を持つことも増えていくと思われます。


では、それが実現した時、男性はどこへ行くのでしょうか?歴史的視点、霊長類の視点で見ても、家族を持たない孤独な男性が増えていくことが考えられ、既に現実になっているように思います。


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孤独なオスのチンパンジー
チンパンジー
credit : Pixel-mixer via pixabay.com (license :CC0)



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