『木造都市への挑戦』



4月の帝国ホテルの朝食会にて本書をいただきました。その時のテーマは、リサイクル・リユースが鉄筋コンクリートより容易な木造建築でした。



日本と木造建築


日本は地震大国です。地震大国であるがゆえに、世界で最も厳しい耐震基準が設けられています。また、太平洋戦争では、東京大空襲によって東京を燃やされました。日本の家屋が木造と紙(障子)からできていることが分かった上での米国の策略でした。


1923年の関東大震災は、家屋の倒壊ではなく火災により多くの死傷者が出ました。現在は救急車両が通れるように道路幅は最低4mなければなりませんが、当時の東京は、家屋がもっと密集していたことは容易に想像できます。関東大震災の結果、日本では木造高層建築が建てられなくなりました(※1)。地震のたびに建築基準法は強化され、しかし一方で、建築メーカー側も、その基準を満たすべく努力を積み重ねてきたのだと思います。しかし、木造3階建て住宅の建設許可は、1992年まで待たなければなりませんでした。



しかしです。


日本は古来より木造建築を建立してきており、大和時代・奈良時代・平安時代の五重塔でさえ数多く残っています。「木造だから耐震性能が劣る」ということはないはず。本書は、耐震性能(&耐火性能)に優れた木造建築へのチャレンジの物語です。


※1)記憶が定かでないので要出典確認。


革新的なKES構法と「木造都市」※2


著者の会社、株式会社シェルターは、新たな建築手法であるKES構法を考案、厳しい耐震基準をクリアし、三階建ての戸建にも多く使われるようになっています。



本領発揮をしたのは、1995年の阪神淡路大震災と2011年の東日本大震災です。1995年では、周囲の建物が全て倒壊しているのに、KES構法の住宅だけが残りました。


2011年では、押し寄せる津波にKES構法の建物が残りました。津波で流されるのは、波の勢いで横に流されるのではなく、「浮力」で土台から外れることによって流されるとのことです。KES構法は、柱を木曽に直接留めることにより、浮力に対抗することができます。なぜKES構法の建物は津波に流されなかったのか?という取材に対し、著者は「建築に対する哲学の差だ」と言います。家屋が人と財産を守る、という哲学です。



そして現在は、「二時間耐火」をクリアすべく、材料を開発中とのことです。それが実現できれば、法規上、14階建ての木造建築を建てることができるとのことです。鉄筋コンクリートの問題点は、リサイクル・リユースが難しい点です。もし、高層建築が木造で可能になれば、リサイクル可能な、持続可能な都市を創ることができます。「木造都市」とは、鉄筋コンクリートの高層建築に替わる、木造高層建築による未来の都市の姿であり、それが本書のメッセージです。


※2)「KES構法」と「木造都市」は、株式会社シェルターの登録商標です。


<目次>

はじめに

第一部 木造の最前線

 第一章 激震・巨大津波に耐えた木造建築

 第二章 建築哲学が命と財産を救った

 第三章 世界初「二時間耐火」の木造都市づくり

 第四章 ウッドファーストは世界の潮流

第二部 木造革命の発想現場

 第一章 工務店の四代目が渡米した

 第二章 創立、そして創造・革新・挑戦

 第三章 木造都市をつくるKESネットワーク

 第四章 人を育てるシェルターの哲学

特別対談 建築の常識を超える

 坂茂(建築家)x木村一義(シェルター社長)

おわりに



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