LIFE SHIFT(ライフ・シフト)
リンダ グラットン, アンドリュー スコット
東洋経済新報社 ( 2016-10-21 )
ISBN: 9784492533871


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『LIFE SHIFT』に関する3本目の記事です。


巷でに賑わせている文部科学省の「天下り問題」ですが、『LIFE SHIFT』の視点での考察が見当たらないようなので、考察しておきます。


『LIFE SHIFT』が問題提起しているのは、我々の人生は我々が思っている以上に長いのに、その備えができていない点です。


日本の平均寿命と定年制度の推移について調べてみると、今年62歳になる人が生まれた1955年では、定年は55歳、男性の平均寿命は63歳でした(以下、すべて男性基準で述べます。女性はさらに6~7歳プラスされます)。つまり定年後の引退人生は8年でした。それが、1980年には定年が60歳へと延長しました。その時点の男性の平均寿命は73歳、引退人生は13年です。2015年になると、多くの企業は65歳までの定年延長を取り入れますが、男性の平均寿命は80歳まで伸びます。引退人生は15年です。



ところが、この平均寿命という考え方は曲者です。1955年当時、平均寿命は63歳でしたが、1955年生れの人の2015年の平均余命は23年、つまり83歳まで生き延びることになります。感覚的には、1955年生れの人の8割以上は2015年まで生きているでしょうから、1955年生れの人の平均寿命は、推定で79歳前後になります。これを、コーホート寿命と呼びます。


同様に考えていくと、2015年時点の平均寿命は80歳ですが、2015年時点で40歳の人は平均して87~88歳まで生きることになりそうです。我々が思っている以上に人生が長いというのは、そういうことです。にもかかわらず、定年延長しても65歳で引退すると、引退人生期間は22~23年にも及びます。


元々、日本の年金制度は8年から13年程度の受給を想定した制度です。88歳まで生きるなら、受給開始を75歳にすべきです。実際に、健康寿命は75歳に近づきつつあります。つまり、60歳や65歳で企業や行政機関から定年を言い渡されたとしても、あと10年から15年は働かなければなりません。図示すると、以下の通りです。


定年・天下りの考察


以上の考え方は、『LIFE SHIFT』に書かれていますので、ご興味のある方は一読ください。


さて、本題です。


現在の「天下り問題」の議論で私が問題だと思っている点は、働き方・人生のあり方をシフトさせることを本質的に議論すべきなのに、それを怠っている点です。少なくとも、このブログ記事の執筆時点で、検索してみても見当たりません。


私が日本の大学の社会科学系の学者をあまり信用しないのは、リンダ・グラットンのような問題提起をするような学者が、東大にも京大にも一橋大学にも見当たらないからです。憲法問題、外交問題、財政問題しかりです。新聞社などのメディアにも同じことが言えます。天下りが問題だと言うのなら、天下りに代わるLIFE SHIFTのあり方を提案せよ、こんなことを市井の書評家に言わせるな、と言うのは言いすぎでしょうか?私の対案については、後日あらためて記事を起こす予定です。


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推敲時間:29分


追記

2/9 23:07 最後のパラグラフの文章を一部見直し。



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